ISO14001改正のポイント

【第35回】次のステージへ上がる最重要の場とは?
〜ISO14001:2015年版「9.3マネジメントレビュー」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)


改めて言うまでもなく、ISO14001は「PDCAサイクル」で組織の環境マネジメントシステム(EMS)を運用することを定めています。

計画を作成し(P)、計画通り実行し(D)、計画通り実行しているかをチェックし(C)、その一連のプロセスを見直して新たな活動へ向かう(A)。このサイクルで最も重要なのが最後のA(アクション)であることは明らかです。

ISO14001:2015年版の細分箇条9.3では、このアクションに当たる「マネジメントレビュー」について定めています。

まず、社長や工場長などのトップマネジメントに対して、EMSが引き続き「適切、妥当かつ有効であることを確実にするため」、定期的にEMSをレビューすることを求めています。
この規定を受けて、多くの企業では、年1回から数回の頻度で、EMSの活動をとりまとめ、社長等へ報告し、新たな指示を受ける場を設けています。

規格は続けて、マネジメントレビューの際に次の事項を考慮しなければならないと述べています。
前回までのマネジメントレビューの結果とった処置の状況
次の事項の変化
 ・環境マネジメントシステムに関連する外部及び内部の課題
 ・順守義務を含む、利害関係者のニーズ及び期待
 ・著しい環境側面
 ・リスク及び機会
環境目標が達成された程度
組織の環境パフォーマンスに関する情報(是正処置、監視測定、監査結果等の傾向を含む)
資源の妥当性
苦情を含む、利害関係者からの関連するコミュニケーション
継続的改善の機会

以上の事項について、項目ごとに報告する必要性はありません。
ただし、これらが、適切に報告されているかをチェックすることはしておくべきです。

なぜなら、多くの企業のマネジメントレビューでの報告事項を拝見していると、目標達成の数字が多少異なる程度で、そのほかは昨年とほとんど同じ報告内容であることが少なくないからです。

例えば、上記では「次の事項の変化」と記されています。「変化」を本当に記述し、報告しているでしょうか。

環境目標を達成できていたとしても、それを推進する立場で力量を持っていた社員が相次いで退職し、引継ぎができていなかった企業。
行政の立入調査で厳しい指摘があった工場が一つあり、他の工場にも水平展開すべき事項であったにもかかわらず、何もしていなかった企業。

これらの企業はいずれもマネジメントレビューで上記事項を報告していませんでした。
これでは、トップが新たな指示を出せるわけがなく、改善に向けた活動は展開されなくなってしまいます。

続けて規格は、マネジメントレビューからのアウトプットに次の事項を含めることを求めています。

EMSが引き続き「適切、妥当かつ有効であること」に関する結論
継続的改善の機会に関する決定
資源を含む、EMSの変更の必要性に関する決定
必要な場合には、環境目標が達成されていない場合の処置
必要な場合には、他の事業プロセスへのEMSの統合を改善するための機会
組織の戦略的な方向性に関する示唆

これも、項目ごとに指示する必要はなく、これら要素を指示事項に含めることを求めています。

では、効果がありそうなら、EMS単体で活動せずに本業の他の活動として行うことを指示してもよいことを含めています。を見ても、本業とEMSを有機的につなげて有効な取り組みをすることを求めているわけです。

「企業にとっても、環境にとっても、何が有効か」。
両者が成り立ち、相乗効果を生むための最適な仕組みを目指して、マネジメントレビューを上手に活用するのがよいでしょう。

(2017年10月)