ISO14001改正のポイント

【第2回】EMSは「仕組み」から「結果」重視へ!?
〜求められる環境パフォーマンス

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
((有)洛思社 チーフディレクター)

現在のISO14001は、環境マネジメントシステム(EMS)の規格です。環境パフォーマンスそのものの規格ではありません。ISOの審査を行う場合も、EMSの仕組みの審査は行いますが、環境パフォーマンスそのもので活動の評価をするわけではありません。例えば、環境パフォーマンスの結果が悪いからといって、直ちに「不適合」にはなりません。

改正ISO14001の国際規格原案(DIS)を読むと、現在の規格と比べて、「環境パフォーマンス」という用語が格段と増えていることに気づきます。私がざっと数えただけでも、20カ所もありました。現在の規格ではわずかに6カ所です。

ちなみに、「環境パフォーマンス」の定義の書かれ方が、DISと現在の規格では異なります。ただし、まとめれば、“環境側面の管理に関連して測定可能な結果”となるので、実質的な内容の変化はないと私は見ています。

それでは、改正によって、ISO14001は「仕組みの規格」から「パフォーマンスの規格」へ変わったのでしょうか。
先に回答を申し上げると、そんなことはありません。DISの序文にもあるように、この規格がEMSの要求事項を規定しているものに変わりはないからです。

ただし、その条文では同時に、「環境パフォーマンスを向上することを可能にするような」EMSと述べており、現在の規格と比べれば、パフォーマンスをより強く意識したものとなっているとは言えるでしょう。

例えば、「9 パフォーマンス評価」では、企業に対して、「適切な指標」を用いた環境パフォーマンスを評価するための基準を決定し、監視・測定を進め、その結果を分析・評価することを求めています。
現在の規格では、定常的に監視及び測定するための「手順」を確立することなどを求めていると記載するにとどめ、やや曖昧な表現をしていると思いますが、これを具体的な表現に改めたわけです。
貴社では、自社が設定している様々な環境パフォーマンスについて、どのような「指標」を設けて管理しているでしょうか。パフォーマンスの監視測定に弱い企業が少なくない中で、この箇所の改正はそれなりに大きな影響が出るだろうと私は考えています。

また、力量の要求事項について、現在の規格では、「特定された著しい環境影響の原因となる可能性をもつ作業」を行う人に力量を持たせることを定めています。これに対してDISでは、「組織の環境パフォーマンスに影響を与える業務」を行う人に力量を持たせることに変更しました。
力量の対象範囲を狭く設定している企業も少なくありませんが、パフォーマンスに関わる業務全体が範囲内にあることが明示されたわけです。

このように、改正後の規格は、引き続きEMSの規格ではあり続けますが、仕組みがうまく機能しているかどうかを判断する一つの基準として、従来以上にパフォーマンスの結果を見ていこうという方向になったということです。
「形だけのEMS」からの脱却が求められていると言えるでしょう。


(2015年1月)

[注]
・正確な改正規格の内容を把握されたい方は、日本規格協会から2015年版の国際規格原案の邦訳版が販売されているのでそちらをご参照ください。
・改正規格の内容はまだ確定していません。本連載は2015年1月時点の内容です。