ISO14001改正のポイント

【第24回】本業と統合された、実効性のある目標達成活動を目指す
~ISO14001:2015年版「6.2 環境目標及びそれを達成するための計画策定」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)

ISO14001:2015年版の細分箇条6.2では、まず6.2.1「環境目標」について規定した上で、6.2.2「環境目標を達成するための取組みの計画策定」を規定しています。

環境目標を確立するに当たって、6.2.1では、次のことが求められています。

組織の著しい環境側面を考慮に入れる
関連する順守義務を考慮に入れる
リスク及び機会を考慮する

3つの文章の末尾を見ると、1つ目と2つ目の文では「…を考慮に入れる(take into account)」とされているのに対して、3つ目の文では「…を考慮する(consider)」と表現が異なっています。

「考慮に入れる」とは、その事項について考える必要があり、かつ除外できないという強い意味を持っています。これに対して、「考慮する」とは、その事項について考える必要があるが除外することができるという軽い意味となります。

つまり、「著しい環境側面」と「順守義務」については、EMSのPDCA活動において重要な意味を持つ目標設定の際に重要な意味を持たせているのに対して、「リスク及び機会」については、そこまでの重要な意味を持たせていないのです。

ISO14001が2004年版から2015年版へ変わって、本業と環境活動の一体化が唱えられ、「リスク及び機会」という新たなツールも導入されました。
しかし、EMSの基本的な枠組みに変更があったわけではありません。従来から存在している著しい環境側面や順守義務は引き続き活動の根幹にかかわるものだということが、ここでもわかることでしょう。

今回の規格改訂によって従来の活動をやみくもに変える必要はありません。
(大きな課題が無いと思うのであれば)従来の活動を行いつつ、組織を取り巻く状況(4.1)や組織の利害関係者からのニーズ及び期待(4.2)を精査することにより「リスク及び機会」を導き出します。
そして、決定された「リスク及び機会」によって、従来の活動を今一度確認し、他にすべきことはないか、又は別の方向に舵を切る必要がないかなどを考える機会を作ればよいのだと私は考えます。

この他に、環境目標は、環境方針と整合させること、(実行可能な場合の)測定可能であること、監視すること、伝達すること、必要に応じて更新することも要求されています。さらに、環境目標に関する文書化した情報を維持しなければなりません。

6.2.2では、環境目標を達成するための取組みの計画を策定することを求めています。計画する際には、ー損椹項、必要な資源、責任者、っ成期限、シ覯未良床訴法を決めなければなりません。
結果の評価方法には、測定可能な環境目標の達成に向けた進捗を監視するための指標も含まれるとされています。

2004年版では、責任、手段、日程の3要素を含むものとされてきましたが、2015年版では、必要な資源や結果の評価方法など、より具体的な事項が追加されていると言えるでしょう。

さらに、環境目標を達成するための取組みを組織の事業プロセスにどのように統合するかについて考慮しなければならないことも要求しています。
このように、この細分箇条では、本業と統合された、実効性のある目標達成活動を目指す姿勢が強く現れていると言えるでしょう。

(2016年11月)