ISO14001改正のポイント

【第26回】EMSへの認識が本当に浸透しているか?〜ISO14001:2015年版「7.3認識」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)


ISO14001:2015年版の細分箇条7.3では、組織の管理下で働く人々に対して、次の4つの事項に関して「認識」をもつことを確実にしなければならないと規定しています。

環境方針
自分の業務に関係する著しい環境側面及びそれに伴う顕在する又は潜在的な環境影響
環境パフォーマンスの向上によって得られる便益を含む、環境マネジメントシステムの有効性に対する自らの貢献
組織の順守義務を満たさないことを含む、環境マネジメントシステム要求事項

ここでまず指摘すべきは、この要求事項が「…認識をもつことを確実にしなければならない」と定めていることです。
従来のISO14001:2004年版では(4.4.2力量、教育訓練及び自覚)、「…自覚させるための手順を確立し、実施し、維持すること」と定めていました。

つまり、本細分箇条では、「手順(手順書)」があればよいというわけではなく、実際の対象者がきちんと認識していなければいけないと定めているわけです。 2015年版がパフォーマンスを強く意識していることが、よく現れている箇所と言えるでしょう。

「組織の管理下で働く人々」、すなわち社員だけでなく、常駐の外部委託会社のスタッフなども 銑い稜Ъ韻鮗尊櫃忙っているかどうかが問われていることになります。

上記の 銑い瞭睛討修里發里砲弔い董多くの解説はいらないと思いますが、規格の附属書A.7.3の次の記述は確認しておくべきでしょう。

「環境方針の認識を、コミットメントを暗記する必要がある又は組織の管理下で働く人々が文書化した環境方針のコピーをもつ、という意味に捉えないほうがよい。そうではなく、環境方針の存在及びその目的を認識することが望ましく、また、自分の業務が、順守義務を満たす組織の能力にどのように影響を与え得るかということを含め、コミットメントの達成における自らの役割を認識することが望ましい。」

環境方針のコピーを従業員が持ち歩くことが悪いと言っているわけではありません。
形式的に体裁を整えるのではなく、環境方針で示された考え方が、個々人の認識に落とし込まれ、実際の業務との関連性が明確になり、活動につながっているかが求められているということです。
形骸化しがちな従業員等への認識(自覚)教育へ警鐘を鳴らしたと言えるのでしょう。

また、い任蓮◆崛反イ僚膽薺遡海鯔たさないことを含む、環境マネジメントシステム要求事項」への認識をもつことを求め、わざわざ「組織の順守義務を満たさないこと」を掲げていることも留意すべきです。

ここでは、環境法等の順守に関連する従業員等は、そこから逸脱した場合にどのような問題が起きうるかをきちんと認識するように求めています。

この点で気をつけたほうがよいと思われるのは、環境法等の順守に関連する従業員等は思った以上に多いということです。
例えば、廃棄物処理法の順守に課題のある企業が少なくありません。その原因を探ると、ISO事務局の同法の知識には問題はないものの、実際に廃棄物を保管場へ運んだり、処理業者へ引き渡したりしている従業員の知識に問題がある場合があります。

この細分箇条では、こうした従業員等に対しても適切な注意喚起の仕組み(教育訓練の場など)を設けることを求めていると言えるでしょう。

(2017年01月)