ISO14001改正のポイント

【第27回】後ろ向きな外部コミュニケーションを否定〜ISO14001:2015年版「7.4コミュニケーション」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)


ISO14001:2015年版の細分箇条7.4は、コミュニケーションに関する事項を規定しています。

まず、次の事項を含む、環境マネジメントシステム(EMS)に関連する内部及び外部のコミュニケーションに必要なプロセスを確立し、実施し、維持しなければならないと定めています。

コミュニケーションの内容
コミュニケーションの実施時期
コミュニケーションの対象者
コミュニケーションの方法

また、こうしたプロセスを確立する際には、順守義務を考慮に入れるとともに、伝達される環境情報を信頼性のあるものにすることを求めています。
さらに、必要に応じて、コミュニケーションの証拠として、文書化した情報を保持することも求めています。

従来のISO14001:2004年版では(4.4.3コミュニケーション)、上記 銑い里茲Δ幣楮戮併項は定められていませんでした。
そこで、これらプロセスが不明確な組織であれば、例えば、コミュニケーションの計画表を作成して運用してもいいかもしれません。

ただし、EMSを問題なく運用している組織であれば、そうした“計画表”的な仕組みは既に持っていることが多いと私は考えています。

例えば、内部コミュニケーションの内容例として、「環境目標の進捗管理」があるとします。これであれば、すでにその「実施時期」も(四半期に1回など)、「対象者」も(社員など)、「方法」も(環境委員会での進捗確認など)決まっていることでしょう。
規格は、細分箇条ごとに文書や記録を作ることを求めているわけではないので、EMS活動全体を見渡してみて、必要なコミュニケーションプロセスが整備されているのであれば、それで問題ないということができるでしょう。

この細分箇条でもう一つ重要な要求事項として、7.4.3の外部コミュニケーションがあります。

コミュニケーションプロセスによって確立したとおりに、かつ、順守義務による要求に従って、環境マネジメントシステムに関連する情報について外部コミュニケーションを行わなければならないと定めています。

苦情への対応、CSRレポートやHPなどを通じての環境情報の提供、行政への各種届出・交流、地域活動への参加等々、具体例は多岐に渡ることでしょう。

実は、従来の2004年版における外部コミュニケーションの要求事項では、著しい環境側面について外部コミュニケーションを行うかどうかを決定するとともに、行うと決定した場合はその方法を確立することと定めているに留まっていました。
その作成経緯についてはここでは触れませんが、驚くほどに後ろ向きな内容だったのです。

上記の例が示すように、企業が実際に行っている外部コミュニケーションには様々なものがあります。これを従来からEMS活動の一環として行っていた企業は、今回の7.4.3の要求事項でも問題なく対応できます。
一方、2004年版の要求事項に対応手順を留めてきた企業にとっては、対応手順の大幅な見直しが求められることでしょう。

最後にもう一点。附属書A.7.4では、「…苦情の分析は、環境マネジメントシステムの改善の機会を発見するための貴重な情報を提供し得る。」と解説しているように、苦情の重要性にも触れています。
耳の痛い話ほど活動の飛躍につながるものです。今回の規格改訂をきっかけに、苦情の取扱いが形骸化していないかどうか、今一度確認してみるのもよいかもしれません。

(2017年02月)