ISO14001改正のポイント

【第28回】データ化を含む文書として何が必要か確認を!〜ISO14001:2015年版「7.5.1一般(文書化した情報)」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)


ISO14001:2015年版の細分箇条7.5は、文書化した情報に関する事項を規定しています。

まず、「文書化した情報」とは、日本語として聞きなれない用語ですが、「組織が管理し、維持するように要求されている情報、及びそれが含まれている媒体」と定義されています(3.3.2)。

わかりやすく言えば、「自社が管理すべき文書・記録」と言えるでしょう。
「文書・記録」とせずに、「文書化した情報」にした理由は、電子化が進み、紙をイメージする「文書・記録」の表現から離れたと考えてよいかと思います。

従来のISO14001:2004年版の要求事項では、文書と記録を分けて定めていましたが、2015年版ではこれを統合しています。
なお、2015年版へ移行しようとする場合、マニュアル上の文書の項目と記録の項目を統合しようとする企業もありますが、要求事項さえ満たしていれば、 従来通り、文書と記録を分けてマニュアルに定めても、もちろん構いません。

細分箇条7.5のうち、7.5.1では、組織の環境マネジメントシステム(EMS)は、次の事項を含まなければならないとしています。

 この規格が要求する文書化した情報
 EMSの有効性のために必要であると組織が決定した、文書化した情報

規格は、上記箇条の「注記」として、EMSの文書化した情報の程度は、組織の規模などによってそれぞれの組織で異なる場合があることを明記しています。

この点は従来からも認められた考え方ではあります。しかし、ISO14001を導入したばかりに、大企業と同じような重厚な文書体系を構築してしまい、その運用 に苦慮する中小企業が多いことを念頭に置いて、わざわざ注記を付して注意を促しているのかもしれません。

では、この規格が要求する文書化した情報にはどのようなものがあるのでしょうか。
2015年版は、規格そのものの文字の量は倍以上となりましたが、組織への文書・記録に関する要求事項が大きく増えたわけではありません。
最大の追加文書・記録は、6.1.1で要求している決定された「リスク及び機会」です。

2015年版の規格が要求している文書化した情報は次の通りです。これを参考に、抜け漏れがないかを確認してみてください。

 □4.3   EMSの適用範囲
 □5.2   環境方針
◆6.1.1   リスク及び機会
 □取組む必要があるリスク及び機会
 □6.1.1〜6.1.4で必要なプロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために
 必要な程度のそれらのプロセス
◆6.1.2   環境側面
 □環境側面及びそれに伴う環境影響
 □著しい環境側面を決定するために用いた基準
 □著しい環境側面
  □6.1.3  順守義務
  □6.2.1  環境目標
  □7.2   力量の証拠
◆7.4    コミュニケーション
 □必要に応じたコミュニケーションの証拠
◆8.1    運用の計画及び管理
 □プロセスが計画どおりに実施されたという確信をもつために必要な程度の、文書化した情報
◆8.2    緊急事態への準備及び対応
 □プロセスが計画どおりに実施されるという確信をもつために必要な程度の、文書化した情報
◆9.2.2   内部監査
 □内部監査プログラム
 □監査結果の証拠
  □9.3   マネジメントレビューの結果の証拠
  □10.2   不適合の性質及びそれに対してとった処置、是正処置の結果

(2017年03月)