ここに注目!環境法

【第55回】フロン「HFC」、オゾン層保護法改正へ!
〜先進国は2024年40%、2036年85%削減へ

安達 宏之
洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター

 多くの工場や事業所には、HFCを使用するエアコンや冷凍・冷蔵機器が設置されています。
 HFCは、「代替フロン」の一つであり、オゾン層を破壊しないために広く利用されてきました。しかし、強力な温室効果ガスであり、地球温暖化対策として排出抑制に取り組む必要があります。


 平成27年4月より、フロン排出抑制法によって機器のユーザー企業には点検や報告などの義務が発生するなど、HFCを含むフロン対策が講じられてきました。いまだに対応できていない企業が散見されるところですが、それとは別のものとして、HFCの製造・輸入そのものが規制されようとしているので注意が必要です。


 29年9月12日、経済産業省と環境書の審議会小委員会より、「モントリオール議定書キガリ改正を踏まえた今後のHFC 規制のあり方について(案)」が公表されました(巻末資料参照)。
 そこでは、HFCの製造・輸入規制のためにオゾン層保護法を改正すべきという考え方が示されています。

 この考え方の提示は、28年10月に、ルワンダのギガリにおいて、「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が改正されたことを踏まえたものです。
 ギガリ改正は、従来、本議定書がCFCやHCFCなどのオゾン層破壊物質を対象にしていましたが、これに、HFCを追加しました。2019年1月1日に発効する予定です。

 この改正によって、HFCの生産量と消費量(生産量+輸入量−輸出量)が段階的に削減されることになります。また、HFCの輸出入に関するライセンス制度の創設、HFCの生産量等の資料提出、製造設備から排出される一部HFCの破壊などが新たに定められます。

 キガリ改正に基づき、日本を含む先進国のHFC削減スケジュールは、HFCの生産量と消費量について、2011 年から2013 年までの平均数量等を基準値として、2019 年−10%、2024年−40%、2029年−70%、2034年−80%、2036年−85%と示されています。
 これが動き出せば、冷媒へのHFC使用は削減され、温室効果の低いガスやノンフロンへの代替が進んでいくことでしょう。

 報告書では、こうしたギガリ改正を踏まえて、日本では、オゾン層保護法の改正によって削減を担保していくべきとしています。

 具体的には、まず同法の規制対象物質にHFCを追加し、オゾン層破壊物質と同様に、生産量と消費量の基準限度を設定し、これに基づいて事業者への製造数量等の割当を行い、その範囲内で製造許可や輸出量の指定を行うとともに、外国為替及び外国貿易法に基づく輸入承認を行う制度にするというのです。

 なお、製造数量の許可や輸入承認の基準など、制度の具体的な運用方法については、環境省は関わることはなく、経済産業省の所管事項となります。このことから、経済産業省と環境省の合同会合とは別に、経済産業省単独の検討が行われています(産業構造審議会製造産業分科会化学物質政策小委員会フロン類等対策ワーキンググループ)。

 ギガリ改正のスタートが2019年1月1日なので、これに間に合うように、オゾン層保護法の改正はもちろん、詳細な実施事項の整備が進められることになります。

 また、報告書案では、今回の提言のように、フロンのライフサイクルの「上流」部分における生産量規制だけでなく、「中下流」部分の対策の重要性にも触れています。
 つまり関連機器等の施工時や使用時、整備時、廃棄時等の場面におけるフロン類の排出抑制の重要性にも触れ、「早急に中下流対策のフォローアップに取り組み、現状と課題の分析及びそれを踏まえた対策のあり方を検討していく」と述べています。

 「今回のオゾン層保護法改正は上流規制だから関係ない」と思うのではなく、「いよいよ本格的なフロン対策が求められている」と捉え、「HFC後」を想定しながら、社内の設備等の投資を検討すべきでしょう。

(2017年11月)