ここに注目!環境法

【第22回】改正フロン法、ユーザー点検義務の準備は済みましたか?
〜27年4月施行直前! 判断基準で提示されたもの

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
((有)洛思社 チーフディレクター)

これまでも本連載で度々取り上げてきた改正フロン法(フロン排出抑制法)。その全面施行は平成27年4月ですので、いよいよ施行間近となってきました。

改正法の最大のポイントは、業務用エアコンや冷凍ショーケースを利用する企業にも定期点検の義務が課されたことです。事業者単位で年間1000CO2-t以上のフロン類の漏えいが確認された場合は、事業所管大臣に報告する義務もあります。

工場やオフィスの多くに業務用エアコンがありますので、その管理者に定期点検が義務付けられるということは、規制対象が極めて広範囲に及ぶということになります。
現在、多くの企業において4月からの対応を目指して急ピッチに準備が進んでいるようですが、一方で、新規制に対して準備が整っていない企業も少なくありません。

準備できていない企業を分類してみると、単に法改正そのものに気づいていない企業もありますが、法改正に気づいていても対応方法が思いつかない企業もあるようです。
話を聞いてみると、「行政の説明会で渡されたパンフレットでは毎日点検するよう書かれてあり、対応しようにもそんな手間暇はとてもかけられない」という声がいくつも出てきました。

確かにパンフレット(記事末尾で掲げた参照先をご覧ください)を見てみると、例えばビル用マルチエアコンの簡易点検について、室外機や室内機の点検を1日に1回以上点検することなどが記載されています。
自社ビルでオフィス業務をしている企業の場合、こうした毎日の機器点検を行うことはそれなりの負担が生じてくることでしょう。

ただ、ここで注意を要するのは、実はパンフレットで示されている頻度は、フロン漏えいをいち早く発見するための有効な頻度であって、あくまでも推奨事項です。法的な義務ではありません。
法的な義務は別にあり、「第一種特定製品の管理者の判断の基準となるべき事項」(26年12月10日経済産業省・環境省告示13号)に定められています。この判断基準に照らして行政は「指導・助言」を行うとともに、7.5kW以上の機器の場合は「勧告・命令」の対象となる場合もあるのです。

この判断基準には、(1)設置・使用環境の維持、(2)点検、(3)漏えい時の措置、(4)記録に関する事項が定められています。
このうち、簡易点検の義務についての規定を見てみると、簡易点検の頻度は3カ月に1回以上と定めています。「1日に1回以上」ではないのです。
また、製品ごとの検査項目を掲げています。例えば、業務用エアコンであれば、製品からの異常音、外観の損傷、摩耗、腐食、さびその他の劣化、油漏れ、熱交換器への霜の付着の有無となります。

一方、製品の設置場所の周囲の状況や管理者の技術的能力により、検査を行うことが困難な事項については、この限りでないとされています。「この場合においては、周囲の状況又は技術的能力を踏まえ可能な範囲内で検査を行うこと」とも明記してあります。
つまり、漏えい防止に向けた努力を管理者に求めつつ、実際の対応では無理のない範囲で行うことを認めていると言えるでしょう。

法の施行まで後わずかですが、当面は現実的に可能な対応手順を整備して実行しつつ、同時に、フロンの漏えいが地球温暖化を招くことを意識して手順の改善に向けた検討を進めていくことが事業者には求められているのです。