ここに注目!環境法

【第25回】建築物の温暖化対策で新法審議中!
〜省エネ基準に適合しなければ建築できない時代へ

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
(洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

現在、通常国会では「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案」が審議中です。
従来、建物の省エネ対策については、省エネ法に基づいて実施されてきましたが、これを新法案へ移管し、より一層強化された省エネ措置が講じられることになります。

省エネ法では、延べ床面積300平方メートル以上の建物の新築・増改築等を行う際に、省エネ措置を所管行政庁へ届け出て、その後、定期的に維持保全状況を報告することなどが義務付けられています。

しかし、建築物のエネルギー消費量は我が国のエネルギー消費量の実に1/3を占めており、現在の省エネ法による対策では不十分であることが明らかとなりました。そこで、今回の新法案による新たな対策を行うことになったのです。

新法案は、規制措置と誘導措置から構成されています。省エネ法の対策を引き継いだものもありますが、規制措置を大幅に強化したものもあります。その最たるものが「省エネ基準適合義務」です。

これは、大規模な非住宅建築物の新築・増改築等を行おうとするとき、省エネ基準(建築物のエネルギー消費性能基準)への適合を義務付けるものです。具体的には、建築主には、新法案により創設される登録判定機関等によって省エネ基準に適合するか否かの判定を受ける義務が発生することになります。

建物を建てる場合、建築基準法に基づく建築確認を受けなければなりません。新法案では、省エネ基準に適合した建物でなければ建築確認を受けられないようにしました。
つまり、新法案が成立・施行すれば、省エネ基準に適合しない建物は建てられなくなるのです。

この規制の対象となる非住宅建築物の規模は、新法成立後に政令で定められますが、当面の予定では延べ床面積2000平方メートル以上のものとされています。

国は、すでに建築物の省エネ対策の大まかな工程表を示しています。それによれば、平成32年にはすべての建築物について省エネ基準の適合を義務付けるとしています。対象規模は順次拡大されていくと考えておいたほうがよいでしょう。
今後、同規模以上のオフィスや工場等を新築等する予定のある企業は注意しておかなければなりません。

新法案は、こうした対策の他に、現行の省エネ法の対策を引き継いで発展させた規制措置として、300平方メートル以上の建物の新築等を行う場合の届出制度や住宅トップランナー制度についても定めています。

さらに、規制措置とともに、省エネ基準に適合している建物の表示制度や誘導基準に適合した省エネ型の建物への容積率特例の制度も設けています。

日本の建築物の省エネ対策は先進国の中でも遅れているという指摘もありましたが、今回の新法案によって一気に規制が強化されることになります。
規制への対応に追われる企業が増える一方、建物に関連する省エネ市場が活性化することが予想され、新たなビジネスチャンスとしても注目されています。

(2015年5月)