ここに注目!環境法

【第27回】水銀環境汚染防止法、改正大気汚染防止法が成立!
〜大気などの排出規制へ

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
(洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

6月19日、水銀環境汚染防止法と改正大気汚染防止法が国会で可決・成立され、官報に公布されました。両法は水銀規制を定めたものであり、第19回目の本連載の記事で述べたように、「水銀に関する水俣条約」が採択されたことを受け、同条約を担保するための措置等を講じたものとなります。

水銀環境汚染防止法は、改正大気汚染防止法や廃棄物規制を除く条約の担保措置を定めたものであり、その規制措置等は広範囲に及びます。

事業活動における禁止事項として次の4つを定めました。
(1)水銀鉱の掘採禁止
(2)特定の水銀使用製品の原則製造禁止(部品使用制限も)
(3)特定の製造工程への水銀等の使用禁止
(4)水銀等を使用する金採取の禁止


また、定期報告制度を整備し、(1)水銀等を貯蔵する者に対する指針に基づく定期報告、(2)水銀含有再生資源を管理する者に対する指針に基づく定期報告を求めています。
さらに、国は水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を策定することになります。 本法の施行期日は、我が国について条約が効力を生ずる日などとされています。

一方、改正大気汚染防止法では、「一定の水銀排出施設」の設置や施設の構造等の変更をしようとする場合、都道府県知事への届出を義務付けています。
法案提出時の対象施設としては、(1)石炭火力発電所、(2)石炭焚産業用ボイラー、(3)非鉄金属製造施設、(4)廃棄物焼却施設、(5)セメント製造施設が挙げられています。

さらに、届出対象の水銀排出施設の排出口の水銀濃度の排出基準を定めました。排出者に対して排出基準の遵守を求めるとともに、基準に逸脱しているときは、都道府県知事が必要に応じて勧告・命令を行うことができます。

また、届出対象外であっても、水銀等の大気中への排出量が「相当程度である施設」について、排出抑制のための自主的取組を責務として求めています。

改正大気汚染防止法の施行期日は、我が国について条約が効力を生ずる日から2年以内で政令で定める日から施行するものとされています。

なお、これら2法とは別に、廃棄物処理法の政省令等を改正することによる水銀廃棄物の規制強化の動きもあります。
平成27年2月6日に環境大臣へ答申された「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について(答申)」によれば、次の対策などが打ち出されています。
(1)廃金属水銀等(排ガス処理施設から回収された水銀など)を特別管理産業廃棄物として規制する
(2)水銀汚染物(水銀を含む汚泥など)や水銀添加廃製品(ボタン型電池や蛍光灯など)を「水銀含有産業廃棄物」として指定し、業や施設の許可でその取扱いを明らかにするとともに、委託契約書やマニフェストの記載等を義務付ける

今後は上記の水銀2法や廃棄物処理法の政省令がどのような内容になってくるのか、十分注視する必要があると言えるでしょう。

(2015年7月)

  • 水銀による環境の汚染の防止に関する法律案及び大気汚染防止法の一部を改正する法律案の閣議決定について(環境省)
    http://www.env.go.jp/press/100686.html