ここに注目!環境法

【第28回】騒音規制は条例にも注意!
〜東京都条例改正を例に考える

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
(洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

昨年の12月、東京都が環境確保条例を改正することを発表したことが大きな話題となりました。
改正の目的が、騒音の規制対象から子どもの声などを外すこととされていたためです。改正条例案は都議会で成立し、今年4月には施行されています。

改正前の条例の規定は、次のようなものでした。

「何人も規制基準値を超える騒音を発生させてはならない」

第一種低層住居専用地域であれば、8時から19時までの時間帯において敷地境界における規制基準が45デシベルと設定されていました。
「何人」には、当然、子どもも含まれてくるので、保育園の園庭などで遊ぶ子どもたちの声が規制基準を超えて条例違反になるおそれもあったのです。

近年、保育園などで発せられる子どもの声などへの苦情が増えており、都はこのままでは問題があると判断し、条例は改正されました。

改正条例では、この規制対象の例外となる音を定めました。
具体的には、保育所などで小学校就学前の子どもなどが発する次の音について規制基準を適用しないこととしたのです。

(1)声
(2)足音、拍手の音その他の動作に伴う音
(3)玩具、遊具、スポーツ用具その他これらに類するものの使用に伴う音
(4)音響機器等の使用に伴う音


都のこうした条例改正については、賛否両論がありましたが、ここではそれには触れません。
私がここで企業のご担当者に注意を促したいことは、都条例のように、自治体が定める条例には、広範囲に企業の事業活動を規制する規定が少なくないということです。

国の騒音規制法の場合、規制対象となる地域(主に市街地)を定めた上で、特定の施設に対して規制基準を適用しています。
つまり、「地域」と「施設」の2つのフィルターがかかっているわけです。事業所内に騒音を発する施設があったとしても、どちらかから外れれば、法の適用は受けません。

これに対して、今回の都条例のように、そうしたフィルターがなく、広範囲の対象に規制をかけている条例がある自治体も少なくありません。

さらに、多少のフィルターがあったとしても、国よりも広範囲に規制対象を定めている条例も多くあります。

例えば、三重県の生活環境保全条例では、7.5kW以上のガス圧縮機や冷房能力104,000 キロジュール以上/時の冷房機・冷却塔などについても規制対象に定め、届出とともに規制基準の順守を求めています。
あるいは、兵庫県の環境保全創造条例では、3.75kW以上の送風機なども規制対象としています。

このように、騒音に関する条例規制は多種多様であり、その数も多いと言えます。事業者は、円滑な操業のためにできる限り騒音の低減に努めることはもちろんですが、騒音規制法だけでなく、都道府県や市町村の条例の規定もしっかりと確認し、確実に法令を順守することも忘れてはなりません。

(2015年8月)