ここに注目!環境法

【第35回】土壌汚染対策法の特定有害物質が追加へ
〜塩化ビニルモノマーは追加! 1,4-ジオキサンは技術的助言?

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
(洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

土壌汚染対策法では、有害物質使用特定施設の使用を廃止するときや、3,000平方メートル以上の土地の形質変更の届け出の際に都道府県知事が汚染のおそれがあると認めるときなど、土地所有者等に土壌汚染調査を義務付けています。

調査の結果、土壌汚染の状態が指定基準を超えていた場合は、要措置区域や形質変更時要届出区域に指定され、厳重に管理されることになります。例えば、要措置区域の場合であれば、都道府県知事から汚染除去等の措置が指示され、土地の形質変更も原則として禁止されます。

土壌汚染の対象物質は「特定有害物質」と位置付けられ、現在、次のように25物質が指定されています。

第1種特定有害物質
(揮発性有機化合物)
テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ベンゼンなど11物質
第2種特定有害物質
(重金属等)
カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物など9物質
第3種特定有害物質
(農薬等/農薬+PCB)
シマジン、PCB、有機リン化合物など5物質

これまで国の審議会において、塩化ビニルモノマーと1,4-ジオキサンをこの特定有害物質に追加するかどうかが検討されてきましたが、平成27年12月28日の答申によりその方向性が明らかとなりました。

それによれば、まず、塩化ビニルモノマーは第1種特定有害物質として追加されることになりました。
土壌溶出量基準と地下水基準は0.002 mg/L 以下へ、第二溶出量基準は0.02mg/L 以下へと、具体的な基準値も提示されています。

一方、1,4-ジオキサンについては、「当面は特定有害物質には指定せず」という結論に至りました。これは、1,4-ジオキサンの場合、土壌ガス調査を適用しても、その特性から検出が困難であり、合理的な対策を行いづらく、また、汚染実態が不明確な点を考慮したためです。

しかし、一方で、自主的な調査に基づく汚染事例の発見や対策の実施が予想されることから、上記の答申では、「1,4-ジオキサンによる土壌汚染に関する技術的助言(案)」も取りまとめました。
地下水飲用の注意喚起や汚染対策の例示、土地形質時の注意事項などが示されています。1,4-ジオキサンを取り扱っている事業者は、これを確認すべきでしょう。

我が国の公害規制関連法は、公害の激しい高度経済成長期に相次いで制定されてきましたが、土壌汚染の法律には反対も根強く、21世紀に入ってようやく制定されたものです(平成14年公布)。
平成22年施行の改正法により、汚染調査の対象が拡大したために、年間の調査数が大幅に増加し、この問題の終着点はまだ見えていないようです。

今回、対象物質がさらに追加されたことも踏まえ、本法への直接的な対策を行うことはもちろんですが、それとともに、土壌・地下水汚染を生じさせないために、実効性のある有害物質の管理の仕組みを日ごろから構築・運用することが、改めて求められていると言えるでしょう。

(2016年03月)

  • 土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(第2次答申)(環境省)
    https://www.env.go.jp/press/101878.html