ここに注目!環境法

【第37回】廃棄物処理法、過去1年間の改正ポイントは?
〜水銀とPCB規制に注目を

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
(洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

廃棄物処理法は、条文そのものが読みづらいだけでなく、法改正がたいへん多く、更に最新内容の把握にたいへんな労力がかかる法律です。

今回は、過去1年間における本法の関係法令(法律・政令・省令・告示等)の主な改正概要とその注意点をざっとまとめておきました。自社の対策に抜け漏れがないか確認してみてください。

見落としてはいけない改正として、次の3項目があります。

■水銀
2015年11月11日に廃棄物処理法施行令が、12月21日には同法施行規則などがそれぞれ改正されました。「水銀に関する水俣条約」の採択を受けて、廃水銀等を特別管理廃棄物に指定し、その処理基準等を定めたのです(2016年4月1日、2017年10月1日施行)。
特別管理産業廃棄物である「廃水銀等」とは、水銀使用製品製造用の施設等で生じた廃水銀や廃水銀化合物などのことです。該当する廃棄物を排出する企業にとっては大きな改正となります。
また、上記とは別に、今後、蛍光灯などの廃棄の際に新たな水銀規制ができる予定なので十分な注意が必要です。
中央環境審議会の答申「水銀に関する水俣条約を踏まえた今後の水銀廃棄物対策について」(2015.2.6)では、事業者から排出される計測機器、照明機器、ボタン型電池等の水銀添加廃製品のうち一定程度以上のものは、「水銀含有産業廃棄物」として指定し、廃棄物データシート(Waste Data Sheet)への記載とともに、委託契約書やマニフェストへの記載の義務づけを求めています。


■PCB
2015年11月24日に廃棄物処理法施行規則が改正され、PCBが使用された廃安定器の分解や解体を原則として禁止しました(12月14日施行)。これは、高濃度のPCB 封入のコンデンサを取り除いても、それ以外の部分も高濃度に汚染されている調査結果があることを踏まえた措置です。
分解等を働きかける業者が一部にいるようなので、PCB廃棄物の保管事業者は、これが禁止事項であることを社内に周知すべきでしょう。
2016年5月2日には、PCB廃棄物特別措置法の改正法が公布されました。高濃度PCB廃棄物の処分期限を設け、違反には改善命令や罰則を担保するもので、3カ月以内に施行されます。PCB規制も引き続き注視しなければなりません。

■カドミウム
2015年12月25日、廃棄物処理法施行規則等が改正され、カドミウムに関する廃棄物最終処分場からの放流水の排水基準や特別管理産業廃棄物の判定基準等を強化しました。水質汚濁防止法の有害物質規制強化を受けた措置です。
本改正は、カドミウムを含まない廃棄物を排出する企業には関係ないので、上記2改正と比べると、対象者はそれほど多くないでしょう。

この他にも、法改正はいくつもありましたが、総じて、個々の企業の廃棄物処理法対策とは関連性の薄いものと言えるでしょう。
例えば、2015年7月17日、廃棄物処理法や関連政省令等が改正されましたが、これは、東日本大震災などを踏まえて、巨大災害時における廃棄物対策を整備するためのものです。

以上のように、過去1年間の改正動向を見てわかるように、法改正には企業または自社に関連性の濃いものと薄いものが混ざっています。中身を見極める力量が、企業担当者には求められます。

(2016年05月)