ここに注目!環境法

【第40回】土壌汚染対策法の改正、見えてきた論点
〜有害物質使用特定施設へ操業中の規制も

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
(洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

国の審議会で土壌汚染対策法の見直しが議論されています。
中央環境審議会の土壌制度小委員会では2016年7月までの議論において、見直しの方向性を示す「論点」が提示されました。

論点は多岐に渡っていますが、「土壌汚染調査や対策の対象事業者に関する規制」の観点から注目すべき論点としては、操業中の有害物質使用特定施設への規制強化をまず挙げるべきと思います。

現行法における有害物質使用特定施設への規制では、施設の廃止時に汚染調査を行うことが義務付けられていますが、操業中の施設への規制はありません。

例えば、操業中の施設の敷地における3000平方メートル未満の土地形質変更や土壌の搬出に特に規制がないのです。
また、施設が廃止された場合、通常は土壌汚染調査が義務付けられますが、その敷地を継続的に工場として使用し続ける場合等は調査が一時的に免除されています。

これに対して、操業中や一時的免除中の有害物質使用特定施設について、次のような規制強化の方向性が打ち出されました。

◆一時的免除中の事業場の敷地で、土地の用途の変更、土地の形質の変更、土壌の搬出などがある場合、調査義務の一時的免除をその部分について解除し、そこに限定して調査を行うべきではないか(通常の管理行為等については、調査対象にしない)。

◆操業中の事業場の敷地で、一定規模以上の土地の形質の変更や搬出を行う際には、あらかじめ行政機関に届出を行い、その範囲に限定して調査を行うべきではないか(操業中の施設の設置場所については、形質の変更、搬出の対象とならないことから、調査の対象としなくてよい)。

この他、小委員会における規制強化の動きとしては、次の事項などが挙げられます。

◆有害物質使用特定施設設置者と土地所有者が異なる場合、施設設置者の協力を義務付けるべき。
◆要措置区域における指示措置等の実施に関して、より詳細な手続きを設け、措置実施計画や完了報告の自治体への届出及び自治体による確認が行われるようにすべき。

なお、以上の規制強化の動きの一方、今回の小委員会では、法の規制緩和に関する事項も議論されています。

例えば、有害物質使用特定施設について、地下浸透防止措置が確実に講じられていることが地歴調査等により確認された範囲においては、地下浸透防止措置が講じられた後に限ってその施設で使用されていた物質について、土壌汚染のおそれが認められないものとして扱うことなども提示されています。

これ以外にも、一定規模以上の土地の形質変更の際の土壌汚染状況調査の手続き迅速化、届出範囲の適正化などの論点も掲げられ、法制度のスムーズな運用についても議論されています。

小委員会の答申は2016年内には行われる予定です。そのため、9月に答申の骨子案が、10月頃までには答申案がとりまとめられることになっているので、今回解説した事項を含む、法改正の具体像がさらに明らかになることでしょう。

(2016年08月)