ここに注目!環境法

【第47回】一時免除中の工場等の土壌汚染も規制へ!
〜改正土壌汚染対策法、その最大の狙いとは?

安達 宏之
洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター

 平成29年3月3日、土壌汚染対策法の改正法案が閣議決定されました。6月まで開かれている通常国会で審議され、成立する見込みです。

 改正法案のポイントは、次の3点とされています。

 土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大  
 汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設等
 リスクに応じた規制の合理化

 このうち、事業者規制の観点から特に注目すべき改正点は、,箸覆蠅泙后

 本法は従来から、次の場合などに土壌汚染調査を義務付けています。

 ・有害物質使用特定施設を廃止するとき
 ・3000平方メートル以上の形質変更を行おうとする土地で、都道府県知事が
  土壌汚染のおそれがあるとして 命令を出すとき

 ただし、有害物質使用特定施設を設置する工場において、その施設を廃止する場合、工場全体としては操業を続けるときなどは、 都道府県知事が確認することを条件に土壌汚染状況調査が猶予されています。
 工場として使い続けるのであれば、例えば子どもが土遊びをして土壌中の有害物質を摂取するリスクは無いからです。

 しかし、本法の見直しを検討する中で、こうした場合における土壌汚染状況の把握が不十分であり、問題を引き起こしかねないことが明らかになりました。

 具体的に言えば、こうした土地における3000平方メートル未満の土地形質変更には何ら規制がなく、汚染されている場合は地下水汚染を引き起こしかねません。  また、そうした汚染土壌を外に持ち出すことも何ら規制がなく、汚染土壌が拡散するリスクも否定できないのです。

 そこで、改正法案では、調査が猶予されている土地の形質変更を行う場合には、その規模が3000平方メートル未満であっても、あらかじめ届出をさせ、 都道府県知事は土壌汚染調査を行わせるものとすることとしました。
 ただし、軽微な行為等はこの届出から除外されることになっています。

 改正法案が成立後、こうした規制措置の具体像を詰めるべく、本法施行規則などの改正が行われることになります。
 その際気をつけておきたいことは、届出が義務付けられる土地の形質変更の規模がどうなるのか(「軽微な行為等」とは何になるのか)という点でしょう。

 参考までに名古屋市の条例を例示すると、特定有害物質等取扱工場等の敷地において、500平方メートル以上の土地の形質の変更をしようとするときに届出と汚染調査を義務付けています。
 有害物質使用特定施設を設置する事業者は、こうした点に注視しながら改正法案の行方を追っていくべきでしょう。

 なお、冒頭で示した△硫正とは、汚染区域(要措置区域)内における措置内容について事業者の計画が基準に適合しない場合、 都道府県知事が変更命令を行うことなどをできるとするものです。
 また、の改正とは、健康被害のおそれがない汚染区域(形質変更時届出区域)での形質変更時の届出頻度を緩和するもの等です。

 改正法案の主な施行日は、公布の日から2年以内の政令で定める日となります。
 現在、東京都の豊洲における土壌問題が連日大きく報道されるなど、土壌汚染問題への社会の関心は高いものとなっています。

 企業担当者は、改正法案の行方も見据えつつ、土壌汚染そのものを引き起こすことのないよう工場・事業場での有害物質の管理をしっかり行うことが何よりも肝要です。

(2017年03月)