ここに注目!環境法

【第6回】追加の物質に注意!水質汚濁防止法「事故時の措置」

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
((有)洛思社 チーフディレクター)

工場やオフィスなどで何らかの事故が発生し、川や海などに汚染物質が流出した場合について、水質汚濁防止法では「事故時の措置」という義務規定を設けています。
流出した汚染物質によって健康や生活環境に被害を生ずるおそれがあるときには、応急措置を講じるとともに、事故状況などを都道府県知事等に届け出なければなりません。

昨年、この事故時の措置が義務付けられる対象事業者が拡大されました。この義務を順守するには、事故という緊急事態に対応するものであり、平常時のうちに、あらかじめ手順をしっかり整備しておくことが大切です。
しかし、新たな規制対象となった事業者の中には、自らが規制対象となったことを知らずに何も検討すらしていない事業者の方々も少なくありませんので、注意が必要です。

事故時の措置の対象は、
(1)特定施設、
(2)指定施設、
(3)貯油施設等を設置する者となります。

このうち、(2)の「指定施設」は、平成23年4月から新たな対象となったものです。 カドミウムなどの「有害物質」を貯蔵又は使用している施設とともに、ホルムアルデヒドなどの「指定物質」を製造、貯蔵、使用又は処理する施設となります。

平成24年5月と10月に、新たな物質がこれら有害物質と指定物質それぞれに追加されました。
5月には、新たな有害物質として、トランス−1,2−ジクロロエチレン、塩化ビニルモノマー、1,4−ジオキサンの3種類が追加されました。
また、新たな指定物質として、クロム及びその化合物、マンガン及びその化合物、鉄及びその化合物、銅及びその化合物、亜鉛及びその化合物、フエノール類及びその塩類の6種類が追加されました。
10月に追加された新たな指定物質は、ヘキサメチレンテトラミンです。
この物質は、同年5月に発生した利根川の浄水場で水道水質基準を上回るホルムアルデヒドが検出された事件において原因物質とされたものです。

このように、これまで本法の事故時の措置と関係がなかった工場などにおいても、これら追加された有害物質や施設物質を何らかの形で取り扱っている場合は、規制対象となる可能性が出てきました。
まずは自社において、追加された有害物質と指定物質を取り扱っていないかを確認し、取り扱っている場合は事故時の水路等への流出の可能性を検討し、水環境への被害の可能性があれば緊急時の手順を整備するべきでし ょう。もちろんその手順には、行政への届出の項目も加えるべきです。