ここに注目!環境法

【第7回】IPCC第5次評価報告書が公表開始! 温暖化対策は再び強化へ?

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
((有)洛思社 チーフディレクター)

9月27日、IPCCの第1作業部会報告書が公表され、大きな注目を集めています。

IPCCの正式名称は、「気候変動に関する政府間パネル」。 1988年に世界気象機関と国連環境計画により設立された組織で、その報告書は、地球温暖化に対する国際的な取り組みに科学的根拠を与えるものとして重要な役割を果たしています。

現在、国際社会は気温上昇を2度未満に押さえることを目標に据え、2020年からすべての国が参加する法的な枠組みをスタートさせることを目指し、2015年までにその枠組みを採択するために議論しているところです。
その政策づくりに当たって最も権威のある科学的なデータが、このIPCCの報告書となります。

第1作業部会の報告書は「自然科学的根拠」を示し、温暖化が進行していることについて「疑う余地がない」と結論づけました。 3000mよりも深い海洋深層で水温が上昇している可能性が高いことや、氷河がほぼ世界中で縮小していることに「高い確信度」があることなどにも言及しています。

また、こうした温暖化の要因は人間活動である可能性が極めて高く、その可能性が95%以上であると指摘しました。
従来は90%以上とされてきたので、より踏み込んだ見解と言えます。
さらに、将来予測として、今世紀末には世界で陸上の気温が最大4.8℃上がることや、ほとんどの陸上で極端な高温の頻度が増加することがほぼ確実と分析しています。

さて、こうしたIPCCの第5次評価報告書について、私は、今後の日本の温暖化対策に大きなインパクトを与え、新法や法改正の動きを起こすだろうと見ています。
その根拠は、過去に同様の経験があるからです。
2007年に公表されたIPCCの第4次評価報告書は、日本の環境法に大きな影響を与えました。
例えば、温暖化対策推進法や省エネ法が相次いで改正されて規制が強化され、また、東京都を始めとした全国の自治体では、温暖化対策の独自条例を作る動きが広がりました。
今回の第1作業部会の報告書は、第5次評価報告書の一部です。
今後、他の作業部会の報告書や統合報告書が順次公開されていきます。
2014年3月25日から29日には、横浜でIPCC第38回総会が開かれます。
ここでは、第2作業部会の報告書が公表されますが、国際会議が国内で開催されることで、温暖化問題が今まで以上に大きな注目を集めることになることでしょう。

企業関係者は、今後も引き続き、国際的な温暖化対策の動向と国内法への影響を注意深くウォッチしていくことが求められています。