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【第8回】日本の温暖化対策の新目標は「3.8%減」、その意味は?

環境コンサルタント 安達 宏之 氏
((有)洛思社 チーフディレクター)

11月11日からポーランドのワルシャワで、地球温暖化対策について議論する国際会議、COP19(国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議)が開幕しました。
初日の全体会合では、台風30号による大きな被害を受けているフィリピンの代表が、涙ながらに温暖化による悪影響を訴え、改めて温暖化問題の深刻さを各国代表に突き付けています。

この会議では、新たな温暖化対策の枠組みを作ることを目的にしています。
2015年までに法的な枠組みを採択し、2020年からスタートを予定。
枠組みには、温室効果ガスを多量に排出する中国や米国を含め、すべての国が参加することになっています。

11月15日、内閣の地球温暖化対策推進本部(本部長は首相)は、2020年までの我が国の温室効果ガス削減目標を「2005年比3.8%減」とすることを決定しました。
また、2013〜2015年の間に、発展途上国への温暖化対策支援として計160億ドル(約1兆6000億円)を拠出するという「攻めの地球温暖化外交戦略」も決定しました。
いずれも、COP19での日本の立場を弱めないための措置と言えるでしょう。

ただ、今回の目標値は、民主党政権が2009年に発表していた「1990年比25%削減」の値から大幅にダウンしています。
今回の値は「2005年比」ですが、これを「1990年比」で換算すると、温室効果ガスは減るどころか、3%以上増えてしまうからです。

もちろん、今回の値は、2011年の福島第一原発事故を経て、原発稼働ゼロを前提としており、原発比率40%を想定していた前政権の数値と同列に扱うことはできません。
とはいえ、国際的なインパクトは小さく、他国と比べて低い目標であるために、むしろ「温暖化対策に後ろ向きな国」という烙印すら押されかねないものとなってしまいました。

前回の記事(「【第7回】IPCC第5次評価報告書が公表開始!」)に書いたように、国際的には温暖化の議論は高まってきており、遠からず、我が国の温暖化政策に大きな影響を与え、企業への規制は強化されると私は考えています。
今回の低い目標値の中で対策が低調のまま推移すれば、ある段階から一気に厳しい規制が導入されることにもなりかねません。その意味で疑問の残る目標値ではないでしょうか。