環境コラム

コラム環境コラム

環境コンサルタント講師の解説による、環境法のポイントをご紹介します。

執筆:環境コンサルタント 安達宏之氏 (洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

安達宏之氏
プロフィール
2002年より現職。主なテーマは「企業向け環境法」「環境経営」。
執筆のほか、企業の法令管理システムやISO14001等の構築、個別調査・コンサルティングなどを行う。
ISO14001主任審査員として、審査業務にも携わる。
各地で企業の環境法担当者向けの環境法セミナー講師を務める。

【第60回】省エネ法、物流・新規制で改正法案!
~ネット小売業者など、実質的な荷主を規制へ!

安達 宏之氏
洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター

 平成30年4月1日、29年6月に成立した改正化審法の一部が施行されます。


 地球温暖化対策については様々な法律がありますが、事業者への規制措置を定める中心的な法律は、「省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)」です。


 この省エネ法の改正法案が平成30年3月に国会へ提出されています。

 今回の改正のポイントは、次の2点です。
 ①荷主規制の強化
 ②企業連携による省エネ評価制度の創設

 まず、①の「荷主規制の強化」を解説します。

 省エネ法では、運輸における省エネを推進するために、運輸事業者と荷主に対して規制措置を定めています。

 具体的には、トラックを200台以上、又は鉄道300両以上保有等する大規模な運輸事業者を「特定輸送事業者」と位置付け、省エネ計画やエネルギー使用状況等の報告義務を課しています。
 また、年間輸送量が3000万トンキロ以上の輸送量の多い荷主を「特定荷主」と定め、計画の提出義務や委託輸送に係るエネルギー使用状況等の定期報告義務を課しています。

 今回の法改正では、このうち、荷主規制を強化することとし、規制対象を広げることにしたのです。
 現在、ネット小売事業が盛んとなっています。ネット小売事業者は、契約等により貨物の輸送方法を決定する場合が多く、実質的に輸送時の省エネ対策のキーパーソンとなります。しかし、貨物の所有権が無いなど、現行法の「荷主」に該当しないという課題がありました。ネット小売事業者の上位10社中、5社が該当しないそうです。

 そこで、現在の「荷主」の定義を見直すことにしたのです。貨物の所有権に関わらず、契約等により貨物の輸送方法を決定する事業者を「荷主」と明確に位置付けました。

 さらに、改正法では、「準荷主」という新しい概念が登場しました。
 これは、到着日時等を適切に指示することのできる貨物の荷受側を指し、やはり従来本法の「荷主」に該当しなかったものの、省エネ対策にとって重要な立場であることに鑑み、「荷主」の省エネ取組への協力を求めることになったのです(努力義務)。

 次に、②の「企業連携による省エネ評価制度の創設」を解説します。

 省エネの取組みは、時に複数の事業者間で協力し合いながら実施することにより、高い効果を上げることがあります。
 しかし、従来の省エネ法の仕組みでは、そうした取組みを評価することができませんでした。企業ごとのエネルギー消費量に基づき評価していたからです。

そこで、複数の事業者が連携する省エネの取組みについて認定し、省エネ量を事業者間で分配して報告することを認めることにより、取り組んだ各事業者が適切に評価される制度を創設することにしました。
「連携省エネルギー計画」の認定を受けた者は、連携省エネの省エネ量を企業間で分配して本法に基づく定期報告ができることを可能にしたのです。

 例えば、同一業界の企業間が連携することによって設備を集約したり、サプライチェーン連携により需要予測等を行って効率化したり、荷主間連携により物流を効率化したりすることで、省エネが進み、各事業者も省エネ法に基づく適切な評価を受けられることになります。

 以上のように、①は規制強化のための改正である一方、②は省エネ促進のための柔軟な制度整備のための改正と言えるでしょう。
 こうした規制と緩和による法改正は、平成29年改正化審法でも見られたように、最近の環境法のトレンドです。

 法改正情報に接したとき、それが規制強化なのか、規制緩和なのかを見分ける目を養いたいものです。

(2018年04月)

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