環境コラム

コラム環境コラム

環境コンサルタント講師の解説による、環境法のポイントをご紹介します。

執筆:環境コンサルタント 安達宏之氏 (洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

安達宏之氏
プロフィール
2002年より現職。主なテーマは「企業向け環境法」「環境経営」。
執筆のほか、企業の法令管理システムやISO14001等の構築、個別調査・コンサルティングなどを行う。
ISO14001主任審査員として、審査業務にも携わる。
各地で企業の環境法担当者向けの環境法セミナー講師を務める。

【第41回】一貫性のあるEMSを運用するために
~ISO14001:2015年版 附属書 A「A.5 リーダーシップ」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之氏
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)

規格の細分箇条「5. リーダーシップ」では、社長や工場長などのトップマネジメントがリーダーシップを発揮すること(5.1)、特定の要素を盛り込んだ環境方針をつくること(5.2)、環境マネジメントシステム(EMS)の体制をつくることを求めています。

このうち、具体的な要求事項が多いのは、環境方針に関するものですが、ISO14001:2015年版「附属書A」(この規格の利用の手引)の「A.5」は、環境方針の役割について次のように述べています。

「A.5」では、「環境方針は、環境パフォーマンスを支え、向上させるために、トップマネジメントが組織の意図を示すコミットメントとして明示する、一連の原則である。」と、その役割を示しています。

環境方針が社員たちに対してトップの明確な指示を示すものであるのはもちろん、(適用範囲とともに)数少ない公表が要求されているものでもあるので、社外に対して自社のEMSの取組み姿勢を示す貴重な文書です。

また、「A.5」では、「環境方針によって、組織は、環境目標を設定し(6.2参照)、環境マネジメントシステムの意図した成果を達成するために取り組み、継続的改善を達成する(箇条 10 参照)ことが可能となる。」とも書いてあります。

この指摘はとても大切です。
例えば、EMSの活動状況が適切か否かをみるとき、まず、組織が掲げた環境方針で掲げている事項が、目標や運用管理に展開されているか否かを見るものです。 外部審査でも、「環境方針に掲げられている事項が活動されていませんね」と指摘される企業がたまにあります。

本連載で何度も書いていますが、EMSはトップダウンの仕組みです。
そのトップダウンの出発点は、この環境方針でしょう。
環境方針にトップの思いや活動の方向性を組込み、それが環境目標などに展開されるわけです。
トップが外部を含めて明示する環境方針が動けば、様々な活動も動く可能性があります。

ずっと同じ内容の環境方針を掲げている企業もあります。それに意図があり、トップも明確にそれにコミットしているのであれば、それで全く問題はありません。

しかし、特に考えることなく、何となく同じ内容の方針を掲げているのであれば、「現状の活動や今後の展開を考えて、いまの方針は適切だろうか」と考えてみるとよいでしょう。

そこまで考えれば、例えばマネジメントレビューなどの機会において、トップへ伝えるべき情報にも変化が見えるかもしれません。

「A.5」では、上記とは別に、次の2点も指摘しています。いずれも重要な指摘なので、確認しておきましょう。

①「A.5.2」では、順守義務へのコミットメントの重要性を強調している。順守義務を決定し、それらの順守義務
 に従って運用が行われていることを確実にし、順守義務を満たしていることを評価し、不適合があればそ
 れを修正することを確実に行いたい。

②「A.5.3」では、「5.3で特定した役割及び責任は、“管理責任者”と呼ばれることもある個人に割り当てても、
 複数の人々で分担しても、又はトップマネジメントのメンバーに割り当ててもよい。」と述べている。 例
 えば、社内に「環境管理責任者」などの役職がないのに無理やりつくる必要はなく、また一人に無理やりや
 らせる必要もない。EMSの責任と権限が明確になっていれば、複数の役職者が対応することも可能で
 あることを示している。

(2018年04月)

PAGE TOP