環境コラム

コラムISO14001改正のポイント

環境コンサルタント講師の解説による、環境法のポイントをご紹介します。

執筆:環境コンサルタント 安達宏之氏 (洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

安達宏之氏
プロフィール
2002年より現職。主なテーマは「企業向け環境法」「環境経営」。
執筆のほか、企業の法令管理システムやISO14001等の構築、個別調査・コンサルティングなどを行う。
ISO14001主任審査員として、審査業務にも携わる。
各地で企業の環境法担当者向けの環境法セミナー講師を務める。

【第44回】外部委託をどこまでマネジメントするか?
~ISO14001:2015年版 附属書 A「A.8 運用」を読む

環境コンサルタント 安達 宏之氏
(洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター)

規格の細分箇条「8. 運用」では、「運用の計画及び管理」(8.1)と「緊急事態への準備及び対応」(8.2)を定めています。

このうち、8.1「運用の計画及び管理」では、ISO14001が2015年版となって、従来無かった用語や要求事項がいくつも出てきたために、それらにどのように対応してよいかわからずに、苦慮している組織が少なくありません。

この点について、ISO14001:2015年版「附属書A」(この規格の利用の手引)の「A.8.1」には、様々な処方箋が書かれているので、確認するとよいと思います。

8.1の要求事項への対応を検討するに当たって、難解な箇所として「外部委託」のテーマがあります。
規格では、「組織は、外部委託したプロセスが管理されている又は影響を及ぼされていることを確実にしなければならない。これらのプロセスに適用される、管理する又は影響を及ぼす方式及び程度は、環境マネジメントシステムの中で定めなければならない。」と規定しています。

実際に、この要求事項を自社の環境マネジメントシステム(EMS)に落とし込む際、例えば、EMS関連文書の中に、どのような「方式及び程度」を書き込んで運用すればよいかどうかを悩んでいる企業担当者もいました。

これに対して、「A8.1」では、「組織は、外部委託したプロセス若しくは製品及びサービスの提供者を管理するため、又はそれらのプロセス若しくは提供者に影響を及ぼすために、自らの事業プロセス(例えば、調達プロセス)の中で必要な管理の程度を決定することとなる。」と述べた上で、この決定が「次のような要因に基づくことが望ましい」と述べています。

要因の例として、「知識、力量及び資源」があるとして、「組織の環境マネジメントシステム要求事項を満たすための外部提供者の力量」や、「適切な管理を決めるため、又は管理の妥当性を評価するための、組織の技術的な力量」などが掲げられています。

つまり、外部委託のプロセス管理の「方式や程度」については、自社や外部委託先の力量等を加味しながら、自分たちで決めてよいということです。

そのために力量評価の基準を厳密に策定して、それに外部委託先が見合うかどうかをチェックするようなプロセスを策定するのも一つの方法でしょうが、絶対的なものではありません。

気になるのは、本業において外部委託する場合に存在しない重い仕組みが、なぜかEMSの中だけにある場合です。
それに意味があるのであれば、もちろん続けていけばよいのですが、ISO立ち上げの時や外部審査での指摘を受けて、何となく継続しているのであれば、その必要性を改めて検討してみるといいかもしれません。

また、「A8.1」では、次のような指摘もしています。

「請負者を含む外部提供者に関連する運用管理の方式及び程度を決定するとき、組織は、次のような一つ又は複数の要因を考慮してもよい。
− 環境側面及びそれに伴う環境影響
− その製品の製造又はそのサービスの提供に関連するリスク及び機会
− 組織の順守義務」

ここでは、規格が重要視する3つの事項を考慮しながら、「方式及び程度」を詰めていくとよいと述べています。

例えば、外部委託しているプロセスの中に、環境汚染につながる可能性の高い化学物質の取扱いがあるなど、環境影響が大きなものが含まれているのであれば、厳しめの管理方式を採用すべきということです。

環境側面(著しい環境側面)、リスク及び機会、順守義務の各プロセスを精査する中で、外部委託のプロセスが含まれてくる場合、特にその管理の「方式及び程度」を詰めていくとよいでしょう。

規格を読むときは、個々の要求事項だけを読むのではなく、常に規格全体の構成を頭に置いて読むことが重要であることは、外部委託のプロセスを考える際にも言えることなのです。

(2018年07月)

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