廃棄物処理法あるあるスタディ

コラム廃棄物処理法あるあるスタディ

廃棄物処理法のポイントをご紹介します。

執筆:メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント 堀口 昌澄

第5回

「 一廃がいっぱいあると、みなし産廃になるんでしょ 」

メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社
シニアコンサルタント 堀口 昌澄

産業廃棄物という言葉からは、「大量」「危険・有害」「大きな工場や工事から発生」というイメージを受ける方が多いのではないでしょうか。ところが、産業廃棄物とは、以下の2つの条件にあてはまるものを指すので、必ずしも大量に発生するとは限りません。逆に言うと、少量であっても産業廃棄物になる場合があります。

条件① 「事業活動に伴って生じた」
条件② 「特定の20種類に該当する」

この2つの条件の片方でも該当しないと、一般廃棄物となります。

条件①の「事業活動」ですが、廃棄物処理法をはじめ他の法律でも明確な定義がありません。辞書では「事業活動=営利を目的として経済活動をすること(実用日本語表現辞典)」や「事業=生産・営利などの一定の目的を持って継続的に、組織・会社・商店などを経営する仕事。(デジタル大辞泉)」とされているようです。過去に事業活動の定義が公に問題になったことはないため、判例も通知もないようですが、業界内では非公式な議論はされています。
一方、様々な法律で業を許可制度で規制しているため「業として」という言葉について様々な判例や解釈があります。「事業活動」と「業」は別の言葉ですし、「業」の形態によって解釈は異なりますが参考になります(ご興味ある方は最後にいくつか例を紹介していますのでご覧ください)。
これらの諸議論を踏まえて「事業活動」の判断要素をまとめると、以下の通りと言ってよいでしょう。

・不特定多数を対象とした活動か
・反復的・継続的に実施しているか
・営利、非営利は関係ない

したがって、事業活動に伴って生じるかどうかと、排出量が多いか少ないかとは無関係です。 また、辞書では、営利目的であることを要件としているようですが、廃棄物処理法では自治体が運営する下水処理場の汚泥は産業廃棄物ですし、非営利団体が運営する病院から感染性の産業廃棄物が排出される前提で運用されていますので、営利性が問われないのは明らかです。

つまり、事業活動を行っている場所としては、工場以外にもオフィス、小売店、飲食店、倉庫・運送、病院、学校などが含まれます。産業廃棄物というのですから第三次産業である、金融、保険、卸売り、小売、サービス業、情報通信業などが含まれるのは当然というべきでしょう。

一方の条件②ですが、これは比較的定義が明確です。
法第2条第4項第1号、施行令第2条第1項に記載されているほか、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について 昭和46年10月25日 環整第45号」にも詳しく説明があります。

よく問題になる木くずを見てみましょう。施行令第2条第2号では 「建設業に係るもの(工作物の新築、改築又は除去に伴つて生じたものに限る。)、木材又は木製品の製造業(家具の製造業を含む。)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業に係るもの、貨物の流通のために使用したパレット(パレットへの貨物の積付けのために使用したこん包用の木材を含む。)に係るもの並びにポリ塩化ビフェニルが染み込んだものに限る。」 と定義されています。
条件①の事業活動に伴って、この条件に該当するものが生じていれば、産業廃棄物となります。逆に、少しでも条件から外れると一般廃棄物になります。特に注意したいポイントは、ここに挙げられた「〇〇業」(日本標準産業分類に準拠)に該当するかどうかです。例えば、工場内の樹木の剪定をした場合の木くずは、ここにある「〇〇業」のいずれにも該当しないので、どんなに大量に発生していても産業廃棄物になりません。

また、その廃棄物が排出される事業がどの産業分類に該当するかを見て判断しますので、注意してください。建設業を営んでる会社だからといって、オフィスから木製の什器が排出されたら、この条件には該当しませんので、一般廃棄物となります。

したがって質問のように、量が多いからと言って、一般廃棄物が産業廃棄物となることはありませんし、「みなし産廃」という言葉も廃棄物処理法の正式な用語ではありません。 逆に、量が少ないからと言って、産業廃棄物を一般廃棄物として処理してよいということでもありません。
また、有害か無害か、危険か安全か、という視点も、産業廃棄物と一般廃棄物の判断要素には入っていません。

あくまで、産業廃棄物は
条件① 「事業活動に伴って生じた」
条件② 「特定の20種類に該当する」
の2つの条件に該当する廃棄物を指すのであって、条件の片方でも該当しないと、一般廃棄物となる、というシンプルな理解をしてください。

<参考情報> 「業として」の解釈

例えば、宅地建物取引業でいう「業として」について、国土交通省の解釈では、下記の要素を勘案し総合的に判断するとしています(一部、抜粋補足済み)。総合判断ですので、この中の要素が欠けていたとしても、該当しうるということです。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/asubesuto/fudousan/05.pdf

①広く一般(不特定多数)の者を対象に取引を行おうとしているか
②利益を目的としているか
③自ら使用ではなく転売するために不動産を取得したか
④自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとしているか
⑤取引の反復継続性

また、弁護士法では、弁護士でないものが法律相談などを行う非弁行為の要件として「業として」が含まれていますが、これについて最高裁判所の判例では、
  「業として」というのは、反復的に又は反復の意思をもって右法律事務の取扱等をし、それが業務性を
  帯びるにいたった場合をさす
としています。

さらに、特許法では、特許侵害の要件として、その行為が業として行われることを要件にしていますが、判例もあまり固まっていないようです。学説を要約すると
①営利性説 営利性は不要という説が有力
②反復・継続性説 これも不要とする説が大多数
③不特定多数説 有力な説だが意見が分かれている
④事業目的説 有力な説だが意見が分かれている
⑤家庭内実施除外説 家庭内の仕事であれば特許侵害してもOK。反対意見はほとんどない
⑥経済活動説 産業に利用されるもので、営利目的・事業目的の範囲内かどうかにかかわらない。 反対意見はない
ということのようです。
http://www.jpaa.or.jp/old/about_us/organization/affiliation/chuuou/pdf/no22/no22-6.pdf

このように、「業」の内容によって変わるのものですし、いずれの法も定義を明確にしていませんので判例、通知、通説などで判断しているのが実態です。「事業活動」に至っては既述の通り非公式に議論がされているにすぎません。専門家や自治体などの意見を聞き、解釈、運用をするようにしてください。

(2018年2月)

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