第2回「どっちが排出事業者になるのか分からない」

メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社
シニアコンサルタント 堀口 昌澄


前回は、「その廃棄物を排出する仕事・業務・事業を主体的に支配、管理している人が、排出事業者である」という説明をしました。今回は、この考え方も基本に、以下の5つの例を考えてみましょう。

1.倉庫で発生する廃棄物
2.購入した製品の梱包材
3.リースアップ品
4.清掃ごみ
5.メンテナンス廃棄物

1.倉庫で発生する廃棄物には、倉庫業に伴って発生する輸送用の資材や、保管していた在庫の処分などがあります。倉庫業務の入荷、保管、梱包、出荷等の作業に必要な容器、テープ、袋などは、倉庫業者の廃棄物と考えられます。倉庫に保管を依頼していた在庫品を処分する場合は、荷主の所有物を荷主の判断で廃棄するのですから、荷主が排出事業者になるべきという考え方が主流です。
では、荷物を倉庫業者が破損してしまった場合はどうでしょうか。これは倉庫業の業務中に廃棄物になったものとして、倉庫業者が排出事業者となるケースと、あくまで自社の荷物として荷主は排出事業者として処理委託しているケースがあります。このようなケースでは、倉庫業者、荷主どちらが排出事業者になってもおかしくはないため、関係者間で責任の所在をはっきりさせて適正に処理するように努めましょう。なお、荷主は排出事業者となる場合でも、倉庫業者の過失によるものですから関連する費用を倉庫業者が負担しても問題ありません。

2.購入した製品が納入されてきた場合、製品の梱包材は誰の廃棄物になるのでしょうか。納入時にその場で開梱して、中の製品だけを置いてくる場合は、梱包材は納入のために使用したということで、一般に納入した側の廃棄物と考えられています。
一方、梱包材に入れた状態でしばらく保管し、使用する際に初めて開梱した場合は、その梱包材は保管のために必要だったのですから、製品を購入した会社の廃棄物と考えるのが適切でしょう。もちろん、梱包材が通い箱であったり、段ボールなどの専ら物・有価物である場合は、納入した運送会社が回収に来ても構いません。

3.リースアップ品は、リース会社の所有物ですので、基本的にはリース会社に返却することになります。返却後すぐに廃棄処分される場合であっても、返却まではリース会社の資産として管理されているので、廃棄物として扱うことはありません。この場合の排出事業者はリース会社となります。ただ、リース契約によって扱いが違うことがありますので、まずはリース契約を確認してください。

4.清掃ごみについては、過去に以下のように疑義照会通知が出されています。廃止されていますが、現在でも参考にされています。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について 昭和57年6月14日 環産第21号」
問14:清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。
答:当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。
これによると、別の業者が清掃、回収などした場合でも、その廃棄物を最初に発生させた者が排出事業者となるということです。ピットや浄化槽にたまった汚泥をバキュームカーで清掃した場合でも、排出事業者はピットや浄化槽の所有者になります。

5.メンテナンス廃棄物
メンテナンスなどで発生する廃棄物は、基本的にメンテナンス業者の業務中に生じるものですので、メンテナンス業者が排出事業者となります。メンテナンスの一環で機器の内部の汚れやホコリの清掃、除去をした場合も、メンテナンス業者の廃棄物として扱われています。

上記以外にも、複数の会社が関与する事業形態は無数に存在します。したがって排出事業者が誰であるかは、基本となる判断基準に基づいて判断、解釈するしかありません。行政としても、個別具体的に検討するというスタンスになると思いますので、判断に迷う場合は都度相談されるとよいでしょう。廃棄物処理法の目的は適正処理ですので、「当社が責任をもって処理したいのです」という姿勢で相談すれば、行政としてもあまり目くじらを立てることはないでしょう。

(2017年11月)

さんぱい塾