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業務用エアコン等のユーザー義務の詳細が明らかに!

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環境コンサルタント
安達宏之 氏

平成27年4月に全面施行される改正フロン法において、多くの企業に高い関心を持たせているものが、対象製品のユーザー(管理者)に義務付けられる規制です。

改正法では、フロン類を使用する業務用冷凍空調機器の「管理者」に対して、(1)対象機器の管理適正化、(2)毎年の漏えい量報告の2つの義務を課します。
この義務の詳細が6月28日までに実施されていたパブリックコメントによって、ようやく明らかとなってきました。

対象機器の管理適正化策では、漏えい防止設置、点検、故障時の修理等を定める「判断基準」を国が設定し、管理者は、その判断基準に即して対象機器の管理に努めることになります。判断基準に照らして取り組みが不十分の場合は、国から勧告や措置命令を受ける可能性があり、命令違反となると罰則が適用されることもあります。

上記の施策のポイントは、管理者に点検が求められるということ。その点検制度には、(1)簡易定期点検、(2)定期点検の2つがあります。
「簡易定期点検」は、すべての対象機器の管理者が行うものであり、例えばエアコンであれば、製品からの異音や外観の損傷等からフロン漏えいの兆候がないかどうか確認します。こうした点検を四半期に一回以上行います。なお、点検を実施する者に特に資格は求められません。

一方、「定期点検」は、一定規模以上の機器には、より厳しい点検を求めています。具体的な対象は、対象機器の圧縮機の電動機定格出力が7.5kW以上。工場や中規模事務所であれば、例えば7.5kW以上の業務用エアコンを使用している例は多くあると言われています。該当する場合は、1~3年に1回以上の頻度で、有資格者による所定の厳しい点検を実施することになります。

次に、毎年の漏えい量報告制度の詳細も明らかになりました。
事業者単位で(フランチャイズチェーンは本社・加盟店等の合計)、一定量以上のフロンの漏えいが生じた場合、事業者は毎年度、その漏えい量等を国に報告することが義務付けられています。

対象者は、漏えい量が事業者単位で年間1,000CO2-tを超えている場合です。想定される対象者の目安として、床面積10,000㎡程度の大型小売店舗を6店舗以上もつ管理者などが挙げられていますので、かなりの大規模事業者ということになるでしょう。国は、全国で2,000事業者程度が対象となると見込んでいます。

今後、夏頃の審議会での会合を経て、指針及び管理者・充填回収業者等に関する省令等が公布されることになります。
平成27年4月の改正法全面施行を前に、十分な準備が必要と言えるでしょう。

▶︎ 「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の一部を改正する法律に係る関係省令改正案等に対する意見の募集(パブリックコメント)について」(環境省)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=18164

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