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省エネ法トップランナー制度に大きな動きあり!~窓・サッシや小型貨物自動車に基準設定

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環境コンサルタント
安達宏之 氏

本連載の3回目の記事で述べたように、省エネ法はトップランナー制度を定めています。これは、エネルギー消費機器や建材のメーカー等に対して、現在ある最も効率の良い製品を基に設定した省エネ基準(トップランナー基準)を目標年までに満たすことを求めるものです。
一定数以上の対象製品を製造等している場合は、国が定める判断基準に照らして取り組みが不十分であれば、勧告や命令を受けることもあります。

これまでに、エネルギー消費機器では、自動車やテレビなど28機器が指定されています。平成25年11月に三相誘導電動機や電球形LEDランプが指定されるなど、対象機器も着実に増えており、いつ自社が関わることになるのかわかりませんので、その動向には注意する必要があるでしょう。

さらに、同年12月からは、対象をエネルギー消費機器だけでなく、建材にもウイングを広げ、建材トップランナー制度が創設されました。建材を対象に加えたのは、建材そのものがエネルギーを消費しないとしても、住宅やビルなどの建物におけるエネルギー消費効率を向上させることになるためです。対象建材は熱損失防止建築材料と呼ばれ、その第一弾として断熱材が指定されました。

26年11月28日、省エネ法施行令等が改正され、建材トップランナー制度の対象として、窓のサッシと複層ガラスが追加されました。 サッシ9万4000窓以上、複層ガラス11万平方メートル以上を生産・輸入している企業は、取り組みが不十分な場合に勧告や命令等の対象になりますので、特に気をつけなければなりません。

すでに指定された断熱材に今回追加されたサッシと複層ガラスと合わせると、住宅からの熱損失の約81%をカバーすることになり、住宅の省エネが進むことが期待されています。

エネルギー消費機器でも動きがあります。 26年12月3日には、運輸部門の省エネ対策を推進するため、小型貨物自動車の新たな燃費基準案が公表されました。34年度を目標年度とした新燃費基準で、24年度比で26.1%の燃費改善を目指します。

この改正の背景にあるのは、自動車のCO2排出量が減少傾向にあるものの、我が国の排出量全体の16%も占めていることがあります。26年4月に策定されたエネルギー基本計画では、運輸部門のエネルギー消費量の大部分を占める自動車の省エネ化が重要であることを指摘しています。小型貨物自動車からのCO2排出量は、その自動車全体の約10%を占めており、削減が望まれていたのです。

昨年12月には、地球温暖化対策を話し合う国際会合がペルーで開催されましたが、2020年以降の温暖化防止に向けた国際的な法的枠組みが、いよいよ今年12月に作られようとしています。温暖化対策は強化されることはあっても、弱まることは考えにくい状況です。
企業は、今回の改正を含めた温暖化対策の動きに引き続き注意してウォッチすべきでしょう。

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