昨年6月、改正水質汚濁防止法が施行され、地下水汚染対策がこれまでになく強化されました。
工場などの施設の老朽化や作業ミスなどによって有害物質が地下水を汚染する事件が各地で発生したためです。
改正法では、カドミウムや鉛、水銀、トリクロロエチレンなど28種類の有害物質を使用したり貯蔵したりする事業者に対して届出を義務付けるとともに、施設の構造等の基準を定めて、その順守や定期点検を求めています。 対象施設は、主に次の2つとなります。
(1)有害物質使用特定施設
本法の特定施設のうち、有害物質を製造・使用・処理する施設です。
(2)有害物質貯蔵指定施設
有害物質を含む液状の物を貯蔵する施設です。
自社の施設が改正法の対象となるか否かについては、まず何よりも「28種類の有害物質を扱っているかどうか」を確認することが大切です。 扱っている場合は、その施設が「本法の特定施設か」又は「有害物質を貯蔵する施設があるか」に該当するかを確認します。
いずれかに該当する場合は、対象施設となる可能性が高いと言えるでしょう。
なお、埼玉県が簡易的な対象施設判定フローチャートを公開しており、これも参考になります(最終的には所轄の都道府県の判断に従うことになります)。
昨年の6月1日時点で既に工場等にこれら施設を設置している場合は、同年6月30日までに届出が義務付けられています。 それから1年が過ぎましたが、全国の工場等を訪問する筆者の実感としては、対象施設があるのに届出等をしていない工場等が少なくないようです。
特に、従来は水質汚濁防止法の届出施設が無かった工場等において、有害物質を貯蔵する施設を設置している場合、それが改正法の対象であることを知らないままに届出もしていないというケースが散見されます。 しかし、未届出には30万円以下の罰金に処するなどの罰則があります。 行政の立入検査で発覚するようなことは避けたいところです。
自社又は関連会社などに改正法の対象施設が無いかどうか、今一度確認されることをお勧めします。
▶︎ 改正水質汚濁防止法の概要(環境省)
⇒http://www.env.go.jp/water/chikasui/brief2012.html