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建設廃棄物⑨

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 今回は、廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)の対象となる廃棄物の詳細のまとめをします。

廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)

 建設工事に伴い生ずる廃棄物(①環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る②書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、③④当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす

廃棄物処理法施行規則第18条の2

(法第21条の3第3項 の環境省令で定める廃棄物)
施行規則第18条の2 法第21条の3第3項の環境省令で定める廃棄物は、次の各号のいずれにも該当すると認められる廃棄物とする。
一 次のいずれかに該当する建設工事に伴い生ずる廃棄物(特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物を除く。次号において同じ。)であるもの
A)イ 建設工事(建築物等の全部又は一部を解体する工事及び建築物等に係る新築又は増築の工事を除く。)であつて、その請負代金の額が五百万円以下であるもの
B)ロ 引渡しがされた建築物等の瑕疵の修補に関する工事であつて、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額が五百万円以下であるもの
二  次のように運搬される廃棄物であるもの
C)イ 一回当たりに運搬される量が一立方メートル以下であることが明らかとなるよう区分して運搬されるもの
D)ロ 当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は当該都道府県に隣接する都道府県の区域内に存する施設(積替え又は保管の場所を含み、元請業者(法第21条の3第1項 に規定する元請業者をいう。)が所有権を有するもの(所有権を有しない場合には、当該施設を使用する権原を有するもの)に限る。)に運搬されるもの
E)ハ 当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないもの
2 F)建設工事を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負つたものとみなして、前項第一号イの規定を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでない。

施行規則第18条の2の詳細は、前回までに解説しましたので、今回はそのまとめとして、法第21条の3第3項の適用対象となる建設廃棄物の条件をすべて挙げます。

法第21条の3第3項が適用される建設廃棄物の条件

1. 特別管理一般廃棄物または特別管理産業廃棄物ではない
2. 新築、増築、解体を除く建設工事で発生した廃棄物、または引渡し済みの建築物等の瑕疵の修補に関する工事で発生した廃棄物
3. 請負代金が500万円以下の工事で発生した廃棄物
4. フレキシブルコンテナ等で、1回当たりに運搬される廃棄物の量が1立方メートル以下であることが明確にわかる状態で運搬される廃棄物
5. 建設現場のある都道府県内か、そこと隣接する都道府県内に運搬される廃棄物
6. 運搬先が、元請事業者が使用権原のある土地か、元請事業者の委託先の廃棄物処理業者の事業地であること
7. 廃棄物の運搬途中で保管を行わないこと

このすべての条件を満たさないと、法第21条の3第3項の適用対象とはならないため、下請事業者が建設現場から廃棄物を運搬する際には、下請事業者に廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。

(2020年06月)

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