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建設廃棄物⑪

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 今回は、廃棄物処理法第21条の3第3項に基づく廃棄物運搬の際に「下請事業者が携行すべき書類」について解説します。

 下請事業者がみなし排出事業者として廃棄物を運搬する際に携行すべき書類について、平成23年2月4日付 環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号通知では次のように説明されています。

(3)下請負人が法第21条の3第3項の規定により産業廃棄物の運搬を行う場合には、当該下請負人には産業廃棄物処理基準が適用されることとなり、当該運搬を行う船舶又は運搬車に、当該運搬が同項に規定する場合において行われる運搬であることを証する書面を備え付けなければならないこと(規則第7条の2第3項及び第7条の2の2第4項)。

 上記の通知で示されている施行規則の中で、今回のテーマと関係する条文は次のとおりです。

廃棄物処理法施行規則第7条の2 令第6条第1項第一号の規定によりその例によることとされる令第3条第一号ニの規定による表示は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める事項を様式第一号により船橋の両側(船橋のない船舶にあつては、両げん)に鮮明に表示することにより行うものとする。ただし、次項に掲げる者については、この限りでない。
2 (略)
3 令第6条第1項第一号の規定によりその例によることとされる令第3条第一号ニの環境省令で定める書面は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定めるもの(当該産業廃棄物の運搬に係るものに限る。)とする。
一  事業者 次に掲げる事項を記載した書面
 イ 氏名又は名称及び住所
 ロ 運搬する産業廃棄物の種類及び数量
 ハ 運搬する産業廃棄物を積載した日並びに積載した事業場の名称、所在地及び連絡先
 ニ 運搬先の事業場の名称、所在地及び連絡先
二~八 (略)
九 法第21条の3第3項に規定する場合において(施行規則)第18条の2に規定する廃棄物の運搬を行う下請負人 当該運搬が同項に規定する場合において行われる運搬であることを証する書面

 廃棄物処理法第21条の3第3項に基づき、下請事業者が建設廃棄物の運搬を行う場合は、下請事業者は「(みなし)排出事業者」と「下請負人」の両方の立場で運搬を行うことになりますので、上記の廃棄物処理法施行規則第7条の2第3項の「一号」と「九号」の内容が記載された書面を携行しなければなりません。
 ここで問題となってくるのが、上記の「九号」の記載例を環境省は通知その他で例示しているのですが、その記載例には、「一号」の「(排出)事業者」として記載すべき「ハ 運搬する産業廃棄物を積載した日並びに積載した事業場の名称、所在地及び連絡先」が含まれていないことです。
 そのため、厳密には、下請事業者がみなし排出事業者として運搬を行う際に、環境省が例示している「別記様式」を使用する場合、その「別記様式」のみならず、「産業廃棄物の積載日」や「積載した事業場の名称、所在地」等を書面化して携行する必要があります。現実問題として、それらの情報をわざわざ書面化する意味があるかにどうかについては、大いに疑問がありますが(苦笑)。

 その他、運搬車両の側面に、「産業廃棄物の収集運搬車両である旨」の表示をする必要があります(廃棄物処理法施行規則第7条の2の2第4項)。

(2020年08月)

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