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建設廃棄物⑲

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行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 今回は、建設廃棄物に関して下請業者が行った不適正処理により、元請業者も措置命令の対象となる可能性があることを解説します。
 平成23年2月4日付 環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号通知では、次のように書かれています。

4 元請業者に対する措置命令
 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について、下請負人により不適正処理が行われた場合であっても、元請業者が委託基準及び再委託基準に則って適正にその処理を委託していたときは、当該元請業者は措置命令の対象とはならないこと。しかし、当該元請業者が委託基準又は再委託基準に違反した不適正な委託を行っていた場合には、当該元請業者は排出事業者責任を果たしたものとは考えられないため、措置命令の対象となること。
 また、元請業者が委託基準及び再委託基準に則って適正にその処理を委託を(筆者注:原文のまま引用)していた場合でも、元請業者が下請負人に対して不適正処理をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は下請負人が不適正処理することを助けた場合や、処理に関し適正な対価を負担していない場合等には、元請業者は、法第19条の5第1項第五号又は第19条の6の規定に基づき、措置命令の対象となること。

 通知の解説に入る前に、措置命令に関する廃棄物処理法の条文を抜粋します。読みやすくするために、条文の全文ではなく、括弧書きの部分を削除した形で掲載します。

廃棄物処理法第19条の5(措置命令)(抄)
 産業廃棄物処理基準又は産業廃棄物保管基準に適合しない産業廃棄物の保管、収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、都道府県知事は、必要な限度において、次に掲げる者(次条及び第19条の8において「処分者等」という。)に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。
一~四 (略)

五 当該保管、収集、運搬若しくは処分を行つた者若しくは前三号に掲げる者に対して当該保管、収集、運搬若しくは処分若しくは前三号に規定する規定に違反する行為(以下「当該処分等」という。)をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又はこれらの者が当該処分等をすることを助けた者があるときは、その者

廃棄物処理法第19条の6(措置命令)(抄)
 前条第1項に規定する場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれにも該当すると認められるときは、都道府県知事は、その事業活動に伴い当該産業廃棄物を生じた事業者に対し、期限を定めて、支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができる。この場合において、当該支障の除去等の措置は、当該産業廃棄物の性状、数量、収集、運搬又は処分の方法その他の事情からみて相当な範囲内のものでなければならない。

一 処分者等の資力その他の事情からみて、処分者等のみによつては、支障の除去等の措置を講ずることが困難であり、又は講じても十分でないとき。

二 排出事業者等が当該産業廃棄物の処理に関し適正な対価を負担していないとき、当該収集、運搬又は処分が行われることを知り、又は知ることができたときその他第12条第7項、第12条の2第7項及び第15条の4の3第3項において準用する第9条の9第9項の規定の趣旨に照らし排出事業者等に支障の除去等の措置を採らせることが適当であるとき。

 廃棄物処理法第19条の5あるいは19条の6に基づく措置命令に違反した場合、同法第26条の「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科」の対象となります。

 環境省の通知では、「元請に委託基準違反があり、そのために下請が不適正処理をした場合は、元請自身は不適正処理を実行していないとしても措置命令の対象にする」と言及されています。ここで言う「委託基準違反」とは、「産業廃棄物処理委託契約書を作成せずに、建設廃棄物の処理を委託」することや、「産業廃棄物収集運搬業者ではない下請に、建設廃棄物の運搬を委託」すること等を指します。

 このように、元請と下請が重層的に関係する建設工事においては、元請事業者が排出事業者として厳重に廃棄物を管理、そして処理委託していくことが、元請の法的な義務として定められていますので、元請として工事を受注する場合は、廃棄物処理法に違反しないように慎重に廃棄物管理を行ってください。

(2021年4月)

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