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プラスチック資源循環促進法②

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 今回は「プラスチック資源循環促進法」のうち、多くの方が期待と関心を寄せていると思われる「第6章 製造事業者等による自主回収及び再資源化」の解説をします。

 まず、「製造事業者等」とは、同法第39条で、

「自らが製造し、若しくは販売し、又はその行う販売若しくは役務の提供に付随して提供するプラスチック使用製品(当該プラスチック使用製品と合わせて再資源化を実施することが効率的なプラスチック使用製品を含む。)が使用済プラスチック使用製品となったものの再資源化のための使用済プラスチック使用製品の収集、運搬及び処分の事業を行おうとする者(当該収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託して当該自主回収・再資源化事業を行おうとする者を含む。)」

 と定義されています。
 そのため、プラスチック使用製品の製造事業者のみに限定されず、「販売事業者」や、「それをサービスの提供に付随して提供する」すなわち「飲食店その他のサービス業」を含めた広い概念であることがわかります。
 また、「当該収集、運搬又は処分の全部又は一部を他人に委託して当該自主回収・再資源化事業を行おうとする者を含む」とあるとおり、回収や再資源化事業のすべてを他者に委託してプラスチック使用製品の自主回収等を行う場合も、同法39条の対象となります。

 自主回収・再資源化事業を行いたい者は、同法第39条に基づき、主務大臣に「自主回収・再資源化事業計画」の認定申請を行い、その認定を受ければ、廃棄物処理業の許可を地方自治体から受けなくても、全国各地で使用済プラスチック使用製品(※筆者雑感 『使用』が重複しているので気持ちの悪い用語です)の回収と再資源化を行うことが可能となります。この「廃棄物処理業の許可不要」となる点が、最大のメリットと言えます。
 ただし、この部分で誤解をしている方が非常に多いのですが、認定を受ければオールマイティーで超法規的な存在になるわけではありません。具体的に言うと、主務大臣の認定を受けたとしても、日本各地であらゆるプラスチック廃棄物を集めることが可能となるわけではありません。認定事業者に認められる回収・再資源化は、「認定された自主回収・再資源化事業計画に従って行う使用済プラスチック使用製品の再資源化に必要な行為」に限定されます(同法第41条)。たとえば、「○○社製の使用済プラスチック容器を回収する」という認定を受けた場合、××社製のプラスチック使用製品については、認定の対象に入っていませんので、廃棄物処理業の許可無しにはそれを扱えないということになります。
 このように、プラスチック使用製品の製造しか行っていない事業者の場合は、回収対象が「自らが製造した使用済プラスチック使用製品」に限定されることになります。
 小売事業者の場合は、「自らが販売した物」であれば、メーカーの別を問わずに回収ができますが、実際には、「自らが販売した物」か「他者が販売した物」かを見分けることは非常に困難ですから、認定申請の際に、「回収する物が何か」を具体的、かつ限定した形で列挙させられるのではと予想しております。

 なお、認定の申請主体は「製造事業者等」ですが、実際に使用済プラスチック使用製品を各地から回収する「運送会社」や、集められた使用済プラスチック使用製品の再資源化を行う「リサイクラー」は、製造事業者等が行う認定申請の中で、「製造事業者等から回収・再資源化事業の委託を受ける者」として位置づけられていれば、主務大臣の認定後、製造事業者等と同様に廃棄物処理業の許可無しに、使用済プラスチック使用製品の再資源化を行えます。もちろん、この場合も、あくまでも認定の範囲内の「再資源化に必要な行為」に限定されますので、認定の範囲に含まれない使用済プラスチック使用製品の回収に関わる場合は、廃棄物処理法の原則どおりに、廃棄物処理業の許可取得が不可欠となります。

(2021年7月)

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