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プラスチック資源循環促進法④

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 2021年8月2日に開催された「中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ合同会議」でたたき台として示された、「プラスチック資源循環促進法」の政省令委任事項の続報です。
 前回のメールマガジン配信後、8月23日に第10回会合が開催されましたので、今回はその第10回での検討状況を元に解説していきます。

 プラスチック資源循環促進法から政省令への主な委任事項は下記の6点です。
1.プラスチック資源循環促進の基本方針
2.プラスチック使用製品設計指針
3.特定プラスチック使用製品の使用の合理化
4.市区町村の分別収集・再商品化
5.製造・販売事業者等による自主回収・再資源化
6.排出事業者の排出抑制・再資源化等
 このうち、上記の1から3の項目は前回のメールマガジンでご紹介しましたので、今回は、残りの4から6の項目を見ていきます。

4.市区町村の分別収集・再商品化
 市区町村が分別回収したプラスチック使用製品廃棄物の再商品化は、「容器包装リサイクル法の指定法人に委託」か、「主務大臣から認定を受け、市区町村と再商品化事業者が連携して実施」の二者択一となります。

 まず、「指定法人に委託する」場合の分別収集の基準として、
・原則として最大積載量が一万キログラムの自動車に積載することができる最大の容量に相当する程度の分量の物が収集されていること ・圧縮されていること
・一辺が50㎝以上のものが混入していないこと
等の素案が提示され、委員から特段の異論は出ませんでした。

 次に、「市町村と再商品化事業者と連携して行う再商品化計画」については、
・申請の対象は、「主としてプラスチック製の容器包装(ペットボトルを除く)が一般廃棄物となったもの」と示されました。
・その他、計画の申請手続きや計画の内容に関する基準も示されました。
 これらの詳細に関し、委員から特段の異論は出ませんでした。

5.製造・販売事業者等による自主回収・再資源化
 プラスチック使用製品の製造事業者または販売事業者が行う自主回収と再資源化は、主務大臣から事業計画の認定を受ければ、廃棄物処理業の許可を受けずに行うことが可能となります。
 合同会議では、この計画の認定申請の際の申請事項や、その内容の基準、申請者の能力、施設の基準の概要が示されました。
 事務局が提示した原案に対し、委員から反対意見は出ませんでしたが、「申請手続きを円滑に行えるように電子申請も可能にして欲しい」という意見がありました。事務局側はその可能性を即座に否定はしなかったため、電子申請が実現する可能性があるのかもしれません。

6.排出事業者の排出抑制・再資源化等
 排出事業者がプラスチック使用製品産業廃棄物の排出抑制や再資源化等に取り組むべき際の「判断基準」を、今後主務大臣が策定することとなります。「多量排出事業者」は、その判断基準に照らし、排出抑制等への取組みが著しく不十分な場合は、勧告や公表、命令の対象になる可能性があることは、当メールマガジンで既に触れたとおりです。
 合同会議では、「判断基準」が適用されない「小規模事業者」の要件として、
・従業員の数が20人以下の会社・組合等であり、商業・サービス業以外の業種
・従業員の数が5人以下の会社・組合等であり、商業・サービス業の業種
・従業員の数が20人以下の一般社団法人等
という案が示されました。
 また、「多量排出事業者」の要件として、「当該年度の前年度においてプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が250トン以上であること」という案が示されました。
 これらの案に対し、委員からは特段の異論は出ませんでした。
 「排出事業者による再資源化」も、「製造・販売事業者による再資源化計画」と同様に、主務大臣から計画の認定を受ければ、廃棄物処理業の許可を受けることなく、実行可能となります。

(2021年9月)

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