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下取り回収⑥

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行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 今号では、下取り回収を可能とする第4の条件「使用済みのもの」の詳細を検討します。

平成12年9月29日付 衛産79号
①新しい製品を販売する際に②商慣習として③同種の製品で④使用済みのものを⑤無償で引き取り、⑥収集運搬する下取り行為については、産業廃棄物収集運搬業の許可は不要であること。

④使用済みのもの
 通知の定義を厳格にあてはめるならば、「未開封・未使用」の商品は使用済みではないので、下取り回収の対象に入らないことになります。もっとも、実際には、買った商品を一度も使用せずに放置し続けることは極めてまれでしょうから、使用済みか否かで悩む機会はほとんど無いのかもしれません。

 では、使用済みの製品ならば、どんな状態の不要物でも下取り回収の対象になるのでしょうか?環境省は、今のところ、このあたりの解釈を明確に示していませんが、「どんな物でも使用済みであれば無許可で回収できる」となると、通知の内容が脱法的に利用されるおそれがありますので、何らかの線引きは必要と思われます。

 そこで、今回はあくまでもローカルルールではありますが、大阪府がHPで公開している「使用済み製品」の解釈基準をご紹介します。

・引き取る使用済み製品の量が販売する製品の量と比べて著しく過大でないこと。
・販売した製品のうち未使用の部分のみを引き取ってもよい。(中味をユーザーが使用し容器のみを引き取る場合など)

http://www.pref.osaka.lg.jp/jigyoshoshido/report/faq_1.html#q4

 「引き取る使用済み製品の量が販売する製品の量と比べて著しく過大でないこと」は、「下取り回収と称して、新品の販売量とかけ離れた莫大な量の廃棄物を回収することは認められない」という趣旨かと思われます。「新品の販売量」と「不要物の回収量」を単純に比較するわけではありませんが、例えば、新品のPC1台を買ってもらうために、古いPC100台を回収するような場合は、新品の販売促進策とは言えず、廃棄物の無許可回収と同視できる行為ですので、大阪府としては許容できないという結論になると思われます。
 「販売した製品のうち未使用の部分のみを引き取ってもよい。」は一見すると、下取り回収通知の定義である「使用済みであるもの」と矛盾するように見えますが、大阪府が言わんとする主旨は、「中味をユーザーが使用し容器のみを引き取る場合など」にあると思われます。この場合、大阪府は「使用後に残った容器」を「未使用の部分」と言っていますが、論理的には、「容器と中身を一体とした一つの商品を使っていた」わけですので、未使用ではなく、「使用済みの容器」と言う方が正確だと思います。そのため、結論としては、大阪府の解釈と下取り回収通知の内容は矛盾しないことになります。

(2019年02月)

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