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中間処理物

BUN 環境課題研修事務所
長岡文明 氏

このシリーズは、廃棄物処理法の世界において、どっちつかずのあやふやにされたままにされている事柄について、BUNさんが「あぁでもない。こうでもない。」と自説を呟くというものです。
一応、「定説」とされているレベルの箇所には<定説>と明示し、BUNさんの独りよがりと思われるようなところには<自説>、さらに根拠が薄いなぁというようなところには<妄説>と明示して話を進めていきます。
読者の皆さんも、<定説>部分は信じてもかまいませんが、<妄説>の箇所は盲信することなく、眉に唾を付けて読んで下さいね。

さて、1回目は「オリジン説」について述べましたが、そこでついて回るのが、「中間処理残渣物」です。
<定説>
中間処理の際に排出される中間処理残渣物の排出者は元々の排出者(事業者)である。
<解説>
平成12年の法令改正までは、中間処理残渣物の排出者は中間処理業者である、として運用されてきました。
しかし、この理念で行くと中間処理残渣の不法投棄や不適正保管があった場合に、元々の排出者の責任が問えなくなる、として、その理念、考え方を変更することにしました。
(平成12年9月改正であったが、趣旨が徹底出来なかったとして平成17年9月に再度通知。経緯、詳細は17.9.30通知、第2、3を参照のこと)
ちなみに、この理念に基づいてマニフェストのE票の規定等がなされています。
<自説>
不適正事案において排出事業者に対して措置命令の対象にする(第19条の5、同の6)といった事案の時は理論構成しやすいが、契約書、マニフェスト、責任所在といった実務の面では対応がややこしい。
現在は、実際にも次のように運用はなされている。たとえば、排出者甲1~甲100まで100社からの廃プラスチック類を焼却業者乙社が引き受けて焼却。そこから出てくる燃え殻を丙A、B、Cの3社の埋立業者に委託しているとする。実際には埋立業者丙Aに行っている燃え殻の元となっているのは甲1~甲33社、丙Bに行っているのは甲34~甲66などということはあり得ない。しかしながら、一応たてまえとしては、マニフェストのE票は甲1~100に返却している。
万一、丙B社が不適正な処理をやっていた時に、甲1~甲100まで同じ行政処分が出来るかと言えば、なかなか難しいと思います。
<妄説>
前回取り上げたオリジン説「処理する前から産業廃棄物は処理した後も産業廃棄物」の理屈、また、「へんてこ条文」の最後の回で例示しました13号処理物の考え方によれば、次のようになってしまいます。
パチンコ屋さんから排出される廃パチンコ台。
これは、「事業活動に伴って排出される廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず」として、すなわち産業廃棄物として処理ルートに流れます。
ところが、パチンコ台を分解すると結構な量の「木くず」が出てきます。
「木くず」は業種が限定されている種類です。建設業や木製品製造業から排出されれば産業廃棄物ですが、それ以外の業種から排出されれば一般廃棄物、いわゆる事業系一般廃棄物になってしまいます。
しかし、しかし、処理業者さんは廃パチンコ台を産業廃棄物として受け取っています。
「処理する前に産業廃棄物であった物は、処理した後に出てくる物も産業廃棄物」にしなければなりません。(オリジン説)
「中間処理業者が排出事業者ではない」としたのですから、処理業者は自分では廃棄物は排出しません。
(処理業とともに別の、たとえば建設業とか製造業も営んでいる、という者は、建設業や製造業としての立場では排出しますよ。あくまでも処理業者の立場としては・・・と言うことです。)
となると、パチンコ台を分解したときに出てきてしまう「木くず」は、元々産業廃棄物ですから、産業廃棄物にしなければならない。しかし、排出事業種類の関係から政令第2条第2号の「産廃木くず」にも該当しない。
そこで行き着く先が「13号処理物」ってことになる訳でしたね。
廃棄物処理法を知っている人ほど、単なる木くずを13号処理物にすることには抵抗を覚えます。
だって、13号処理物と言えば、普通は有害金属類が溶出しないようにコンクリートやキレート剤で塗り固めた「物」だから。
ここでBUNさんは提案したい。
平成12年改正の「中間処理残渣物の排出者は元々の排出者」という理念を元に戻したらどうか。
不適正事案における措置命令の対象にするという原状回復責任の規定は、それは改めて別途規定する。
しかし、それ以外の規定は、「中間処理残渣物の排出者は中間処理業者」とする。
(現実に、委託契約書とマニフェストについては、括弧書きでわざわざ「中間処理業者を事業者とみなす」規定までしているんだから)
そうした上で、中間処理業者をあらゆる産業廃棄物の指定業種にしてしまう。
これだと、オリジン説で取り上げたリサイクル残渣の矛盾、今回挙げたマニフェストの紐付け、そして13号処理物の違和感も一挙に解決。
各種リサイクル事業から出てくる処理残渣、中間処理残渣にしても中間処理業者を排出者と位置付けられれば、そこから「排出者責任がスタートする」とすることができる。
一般廃棄物を「原料」としていても、中間処理業者を排出者と位置付けられれば、処理残渣物は産業廃棄物と位置付けることも可能。
さらに、中間処理業者をあらゆる産業廃棄物の指定業種にしてしまえば、それが木くずであろうと紙くずであろうと産業廃棄物とすることが可能。
そうであれば、パチンコ台からの木くずも13号を待たずに2号の「木くず」に包含出来る。
八方丸く収まると言う訳さ。めでたし、めでたし。
BUN(長岡)<(_ _)>(^-^)/

「中間処理物」のまとめ
<定説>
中間処理残渣物の排出者は元々の排出者(事業者)である。
<妄説>
中間処理残渣物の排出者は中間処理業者として、あらゆる産業廃棄物の指定業種に中間処理業者を位置付ける。(BUNさんの提案、けして、そのとおりにはなりませんのでご注意の程(^O^))

(2019年07月)

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