環境コラム

コラムここに注目!環境法

環境コンサルタント講師の解説による、環境法のポイントをご紹介します。

執筆:環境コンサルタント 安達宏之氏 (洛思社 代表取締役/環境経営部門 チーフディレクター)

安達宏之氏
プロフィール
2002年より現職。主なテーマは「企業向け環境法」「環境経営」。
執筆のほか、企業の法令管理システムやISO14001等の構築、個別調査・コンサルティングなどを行う。
ISO14001主任審査員、エコアクション参与・審査員として、審査業務にも携わる。
各地で企業の環境法担当者向けの環境法セミナー講師を務める。

【第77回】改正大気汚染防止法、アスベスト規制全体像が明らかに!
~改正政省令も公布、2021年4月施行へ準備整う

安達 宏之氏
洛思社 代表取締役/ 環境経営部門チーフディレクター

 
解体工事におけるアスベスト(石綿)規制を大幅に強化する改正大気汚染防止法が、いよいよ2021年4月1日からスタートします。

改正大気汚染防止法そのものは、2020年6月に制定・公布されましたが、規制の詳細は、本法の政省令等の改正により定められます。それが10月に制定・公布されました。
さらに、11月30日には、2021年4月1日以降の改正法の運用の詳細を定める通知が環境省から発出されました。
これらによって、規制強化の全体像が明らかになったことになります。

ここでは、改正政省令等の内容を含めた、改正大気汚染防止法に基づく、2021年4月以降の規制概要を解説していきましょう。

大気汚染防止法のアスベスト規制とは、解体工事などにおいて、アスベストの含有を調べ、それが含まれている場合は、都道府県に届出を行った上で、基準に基づき工事を行うというものです。
こうした基本的な流れについては、改正後も変化はありません。

改正後の解体工事におけるアスベスト規制の全体像は、次の図表の通りです。赤字が今回の改正により追加された箇所です。

アスベスト規制  
アスベストは、吸い込むことにより死亡するおそれもある危険な鉱物繊維です。これが、全国の様々な建築物等に使用されており、その解体工事などにおいて飛散させないように、慎重な対応が求められています。

このアスベストは、危険性によって、レベル1(吹付け石綿)、レベル2(石綿含有の断熱材・保温材・耐火被覆材)、レベル3(その他の石綿含有成形版等)の3つに分類されます。

改正前の本法では、このうち、レベル1とレベル2のみを規制対象としてきました。
レベル3は規制対象とはしてこなかったのです。
しかし、今回の法改正によって、レベル3を追加されました。これが本改正の最大のポイントです。

とはいえ、レベル3への規制が、レベル1・2への規制と同じ内容になるわけではありません。
レベル1・2を含む解体工事の場合、都道府県への届出が義務付けられていますが、改正後もこれに変化はありません。
では、どのような点が主に異なってくるのでしょうか。レベル3追加以外の主な改正点を含めて、法改正のポイントを工事の流れに沿ってまとめると次のようになります。


元請は、解体工事(建築物又は工作物の解体・改造・補修工事)の発注後、アスベストが含まれているかどうかを事前に調査します。改正前は、レベル1・2のみでしたが、改正後は、レベル3の調査が追加されました。
なお、2023年10月からは、この事前調査を「一定の知見を有する者」が行うことになっています。具体的な要件は、「建築物石綿含有建材調査者講習を修了した者」などです。

元請は、調査結果の記録を作成・保存します。また、床面積80平方メートル以上などの工事の場合、都道府県に報告します(2022年4月施行)。これらはいずれも改正後に追加された義務です。
報告義務の対象は、アスベストの含有有無に関わらないので、注意が必要です。

発注者は、元請からレベル1・2を含む報告を受けた場合は、工事14日前までに都道府県に届出を行います(レベル3のみの場合は、この届出は不要)。

レベル1・2・3が使用されている解体などの工事(特定粉じん排出等作業)の際には、元請・下請は作業基準を遵守します。改正後は、例えば、レベル3でも作業計画を定めることが義務付けられるなど、レベル3も含まれてきます

元請は、特定粉じん排出等作業の記録を作成・保存します。また、作業終了後、発注者に報告し、それを保存します。



このように、工事の手順の様々な場面においてレベル3が入ってきています。また、事前調査結果の一部報告義務化も定められるなど、新たな規制もあります。

2021年4月以降の規制対応に抜け漏れが生じないようにするため、それまでの間に社内の手順をしっかり詰めておくことが求められます。


◎「改正大気汚染防止法について」(環境省)
 ⇒ https://www.env.go.jp/air/post_48.html

(2020年12月)

 

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