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蛍光ランプの廃棄方法が変わる!~改正廃棄物処理法施行規則案に注目

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環境コンサルタント
安達宏之 氏

廃棄物処理法施行規則の改正案のパブリックコメントが平成28年10月11日から1カ月間行われました。

これは、平成25年10月に採択された水銀に関する水俣条約を踏まえた水銀廃棄物対策の詳細を定めるものです。

同条約を踏まえた新たな水銀廃棄物対策としては、すでに平成28年4月1日より廃水銀等が特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に指定され、収集運搬基準が設定されています。
 今回の改正案では、この処分基準の詳細が定められました。
 ただし、廃水銀等とは研究所などから生じるものであり、一般の排出事業者にとっては、あまり関係ないと思われます。

一方、今回の改正案では、この規制とは別に、「水銀使用製品産業廃棄物」への規制の詳細が示されました。これは、多くの排出事業者に関連するものであり、十分注意する必要があります。

改正案では、まず、「水銀使用製品産業廃棄物」の対象として、水銀又は水銀化合物が使用されている製品が産業廃棄物となったもののうち、計35製品などを挙げました。
 35製品などの例を挙げると、水銀電池、空気亜鉛電池、スイッチ及びリレー(水銀が目視で確認できるもの)、蛍光ランプ(冷陰極蛍光ランプ及び外部電極蛍光ランプを含む)、HID ランプ(高輝度放電ランプ)、 放電ランプ(蛍光ランプ及びHID ランプを除く)、農薬、気圧計、湿度計などです。

これらのうち、例えば蛍光ランプは、多くの事業所で使用されています。現在は、それが廃棄物となれば、産業廃棄物(金属くず、廃プラスチック、ガラスくずなどの混合物)として処理委託されていることでしょう。

ところが、今回の改正案では、廃蛍光ランプなどについて、“産業廃棄物ではあるけれども、通常の産業廃棄物よりは多少気をつけたほうがよい産業廃棄物”として位置づけ直し、排出事業者に対しても、追加の規制措置を課すことにしたのです。

具体的には、主に次の規制が追加されることになります。

◆保管する場合、産業廃棄物保管場所の掲示板に水銀使用製品産業廃棄物である旨を記載する
◆保管場所には、水銀使用製品産業廃棄物がその他の物と混合するおそれのないように、仕切りを設ける等必要な措置を講ずる
◆水銀使用製品産業廃棄物の処理委託を行う場合、委託契約書に水銀使用製品産業廃棄物を処理委託することを記載する
◆マニフェストには水銀使用製品産業廃棄物である旨の記載を行う

また、産業廃棄物処理業者が水銀使用製品産業廃棄物を取り扱えるかどうかについて、産業廃棄物収集運搬業、産業廃棄物処分業、産業廃棄物処理施設の許可において明らかにされます。
  さらに、「廃棄物情報の提供に関するガイドライン」が改正され、廃棄物データシートへの記載が求められる予定とされています。

今後、平成29年1~2月に改正省令等が公布、2~3月に「水銀廃棄物ガイドライン」が公表され、各事業所でのさらに具体的な対応方法が明らかになることでしょう。そして、これら規制の施行は、平成29年10月1日とされています。

規制が施行されるまでに、情報を的確にキャッチし、抜けの無い対応が求められています。

(2016年11月)

▶︎ ◎「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」等に対する意見募集(パブリックコメント)について(環境省)
http://www.env.go.jp/press/103098.html

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