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建設廃棄物⑦

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 前回に引き続き、廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)の対象となる廃棄物の詳細を解説していきます。

 該当する法令の条文は以下のとおりです。
廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)

 建設工事に伴い生ずる廃棄物(①環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る②書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、③④当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす

① 「環境省令で定めるもの」

(法第21条の3第3項 の環境省令で定める廃棄物)
施行規則第18条の2 法第21条の3第3項の環境省令で定める廃棄物は、次の各号のいずれにも該当すると認められる廃棄物とする。
一 次のいずれかに該当する建設工事に伴い生ずる廃棄物(特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物を除く。次号において同じ。)であるもの
A)イ 建設工事(建築物等の全部又は一部を解体する工事及び建築物等に係る新築又は増築の工事を除く。)であつて、その請負代金の額が五百万円以下であるもの
B)ロ 引渡しがされた建築物等の瑕疵の修補に関する工事であつて、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額が五百万円以下であるもの
二  次のように運搬される廃棄物であるもの
C)イ 一回当たりに運搬される量が一立方メートル以下であることが明らかとなるよう区分して運搬されるもの
D)ロ 当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は当該都道府県に隣接する都道府県の区域内に存する施設(積替え又は保管の場所を含み、元請業者(法第21条の3第1項 に規定する元請業者をいう。)が所有権を有するもの(所有権を有しない場合には、当該施設を使用する権原を有するもの)に限る。)に運搬されるもの
E)ハ 当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないもの
2 F)建設工事を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負つたものとみなして、前項第一号イの規定を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでない。

 上記のうち、A)とB)の詳細は前号で解説しましたので、今回はC)とD)について解説します。
 「平成23年2月4日付環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号通知」では、下記のように施行規則第18条の2の規定を解説しています。

C)対象となる建設廃棄物の量

  一回当たりに運搬される量について、巻尺その他の測定器具を用いて簡易な方法により一立方メートル以下であることが測定できるもの又は一立方メートル以下であることが明確な運搬容器を用いて運搬するものであること。

 1立法メートルは1メートル四方の立方体ですので、法第21条の3第3項の対象となる廃棄物の量はそれ以下の少量の物となります。実際には、容量が1立方メートル以下となるフレキシブルコンテナやコンテナボックス等の容器に廃棄物を収納し、その容器ごと廃棄物を建設現場から移動させることになります。

D)廃棄物の運搬先

 当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は隣接する都道府県の区域内に存し、元請業者が所有権又は使用する権原を有する施設(積替え又は保管の場所を含む。)に運搬されるものであること。
 なお、使用する権原を有する施設とは、元請業者が第三者から貸借している場合のほか、下請負人又は中間処理業者から貸借している場合も含まれること。また、元請業者と廃棄物の処理の委託契約をした廃棄物処理業者の事業の用に供する施設(積替え又は保管の場所を含む。)に、下請負人が当該廃棄物を運搬する場合についても、元請業者が使用する権原を有する施設に運搬されるものであると解釈されること。

 法第21条の3第3項が適用される「廃棄物の運搬先」の条件は2つあります。
 1つは、運搬先が「建設現場のある都道府県内」か、「建設現場のある都道府県と隣接する都道府県内」のいずれかに該当することです。1立方メートル以下という、ごく少量の建設廃棄物を運ぶための特例ですので、遠くの場所にまで運ぶ必要性が少ないからです。
  もう1つの条件は、廃棄物の運搬先が「元請事業者が所有権、あるいは使用権原を有する施設」であることです。「元請事業者の所有地」の他、「第三者から賃借している土地」、「下請事業者が元請事業者に貸した土地」でも良いとされています。また、元請事業者が用意した土地ではなく、直接「元請事業者の委託先処理業者の事業地」に運搬することも可という説明がされています。

(2020年04月)

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