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再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース発の疑義解釈(その1)

Author

行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 メールマガジンのタイトルを書いている途中に我ながら「くどい」と感じましたが、正確性を期すために、会議(?)のタイトルから「等」を2回正確に引用しました。

 近年「タスクフォース」なる用語を目にする機会が増えましたが、皆様はこの用語の正確な定義をご存知でしょうか?
 恥ずかしながら、本稿を執筆するまでの私は、「フォース」と聞くと、「スターウォーズ」の「ヨーダ」や「メガフォース」等の1980年代映画しか思い浮かびませんでした。あるいは、チャック・ノリス主演の「デルタフォース」を思い浮かべた方も多いと思います。
 今では遠い昔の出来事となってしまった受験英語では、「フォース(force)」を動詞として用いる際は「強要する」とか「強行する」という意味になる、というかすかな記憶が残っています。

 このように、「force」本来の意味としては、「ジェダイ騎士が使いこなす力」よりも、「自由主義国家のための超国家的組織」である「メガフォース」や、「対テロ特殊部隊」である「デルタフォース」に見て取れるように、「力」や「武力」を象徴する言葉と言えます。ちなみに、「メガフォース」は映画上の架空の設定でしかありませんが、「デルタフォース」はアメリカ陸軍に実在する部隊の通称です。

 「タスクフォース(task force)」とは、そもそもは軍事用語であり、「ある任務(task)のために編成される部隊(force)」というのが、本来の意味となりますが、近年の流行としては、「企業が抱えている課題を迅速に解決するために少人数で議論する場」を「タスクフォース」と称する傾向にあります。「俺たちは、重要課題を検討するための特殊部隊様なんだぜ!」という、少年のような青臭さを感じさせる呼称ではありますが、呼称によって構成員の士気が高まるのであれば、何らかの意義はあると考えられます。しかしながら、あくまでも個人的な意見ではありますが、国や省庁によって「武力」そのものである「force」を気軽に使われてしまうと、心にざわめきが走る今日この頃です。

 さて、「タスクフォース」の語源や定義を確認できましたので、ここから本題に入ります。既にご存知の方が多数おられることと思いますが、令和3年9月30日付で、「第12回再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(令和3年7月2日開催)を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用に係る解釈の明確化について」という通知が発出されています。今回から、その通知(疑義解釈)の内容を精査していくことになりますが、初回は、疑義解釈が発出された背景を理解するために必要な、「総点検タスクフォース(勝手に略称)」の設置趣旨を引用いたします。

1. 趣旨

 第203回臨時国会の総理所信表明演説にて宣言された、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け、規制改革や革新的イノベーションの推進などの政策を総動員することが急務である。中でも、本社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化及び最大限の導入が非常に大きな鍵を握り、その障壁となる規制改革の取組は必要不可欠である。また、再生可能エネルギーに係る規制は、関連府省庁や各自治体にまたがっており、縦割り行政等に起因する中長期的な構造的課題も孕んでおり、網羅的かつ横断的にスピード感を持って取り組まなければならない。このため、内閣府特命担当大臣(規制改革)(以下「特命担当大臣」という。)の下で、関連府省庁にまたがる再生可能エネルギー等に関する規制等を総点検し、必要な規制見直しや見直しの迅速化を促すことを目的に、「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下「タスクフォース」という。)」を開催する。

 すなわち、「再生可能エネルギーの主力電源化及び最大限の導入」を実現するために、「その障壁となる規制改革」を行い、「縦割り行政等に起因する中長期的な構造的課題」の解決を目指すために設置された場、ということになります。
 本稿執筆時点では、2年間で22回の会議が行われており、なおかつ議論の模様がYouTubeで同時配信されるという、「情報公開」という面では、並々ならぬ意欲が感じられる会議です。とは言え、「タスクフォース」という性質上、「縦割り行政」の解消といった「規制改革」面での目に見える成果はまだ無いようです。
 ただし、廃棄物処理法関連では、行政と協議する際に大いに役立つ可能性がある疑義解釈が含まれていますので、次回からその詳細を個別に検討していきます。

(2022年8月)

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