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オリジン説その2

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BUN 環境課題研修事務所
長岡文明 氏

<自説、妄説>
(1)13号処理物
前回のシリーズ「へんてこ条文」の最後に取り上げました「13号処理物」の条文がまさにこれです。 前述の「定説」では、「一般廃棄物が産業廃棄物に衣替えする」屁理屈を紹介しましたが、実務上はこの逆の「産業廃棄物が一般廃棄物に衣替えする」の方が問題です。
それは、廃棄物処理法の理念の一つに「一般廃棄物の統括的責任は市町村にある」とするものがあるからです。(一般廃棄物における市町村の統括的責任、についても機会があれば取り上げてみたいと思ってます。)
もし、産業廃棄物が簡単に一般廃棄物に衣替えが可能なら、産業廃棄物の排出事業者責任も簡単に市町村に付け替えられてしまうからです。
だから、(現時点では「へんてこ」な訳の分からない表現に改正されてしまいましたが)産業廃棄物の最後の砦として、政令13号で「産業廃棄物を処理して、その結果、前号までに(法律6種類と政令12号までに)該当しない<物>になっていても、それは産業廃棄物だよ」と規定しているんですね。
(2)各種リサイクル法の許可不要制度
もう一つ、「一般廃棄物は一般廃棄物」「産業廃棄物は産業廃棄物」と国(制度設計者)は考えているんだろうなぁという制度があります。
それは、各種リサイクル法の許可不要制度です。
現在、リサイクル法には家電、小型家電、食品、容器、建設、自動車の6つのリサイクル法が規定されています。
このうち、建設リサイクル法には許可不要制度は規定されていませんし、食品と容器は一般廃棄物だけの規定なので、自動車リサイクル法で示します。
自動車リサイクルの許可不要制度は、自リ法第122条で規定されています。第1項では、廃棄自動車の引取業の登録を取った業者は廃棄物処理法の第7条(一般廃棄物処理業)の許可も第14条(産業廃棄物処理業)の許可も不要、と規定しています。
さらに、引き取った次の工程として「解体」する訳ですが、この「解体業」については第2項で同様に、「解体業の許可を取った業者は、廃棄物処理法の第7条(一般廃棄物処理業)の許可も第14条(産業廃棄物処理業)の許可も不要、と規定しています。
これにより、各種リサイクル法においても、「一般廃棄物は一般廃棄物」、「産業廃棄物は産業廃棄物」という原則的なルールがあるんだなぁと。

<妄説?>
ところが、この「一廃は一廃、産廃は産廃」の大原則が崩れつつあります。
それを実感出来るのも実は、各種リサイクル法です。
たとえば、容器リサイクル法は市町村が収集運搬した一般廃棄物である廃容器が対象になっていて、大筋の制度、処理ルートは現在でも上手く行っていると思っています。
大変なのが、リサイクル工場から排出される処理残渣です。
そもそも、前述の通り容器リサイクル法の対象になるのは一般廃棄物ですから、市町村によって集められた時点でも一般廃棄物、さらにこれを「リサイクル」という処理をやる時点でも原料は一般廃棄物ということになります。
リサイクル工場から製品となって世の中に戻るメインルートのものは、これは有価物ですからいいのでしょうが、処理の過程で残渣物として排出されるいわゆる「中間処理残渣物」。これはオリジン説から言えば、「処理する前に既に一般廃棄物であった物から出た廃棄物」ですから、一般廃棄物となってしまいます。
そうなると、統括的責任は市町村にあるということになり、リサイクル工場が所在する市町村に押しつけられてしまうことにもなりかねません。
容器包装リサイクル法での通知には明確なものは見つけられないでいるのですが、実は前述の自動車リサイクル法には面白い規定と、その解釈があるんです。
それは、自動車リサイクル法第122条第3項の「破砕業」の規定です。先に紹介したとおり「引取業」「解体業」には7条一般廃棄物処理業、14条産業廃棄物処理業ともに「許可不要」とする規定があるのですが、「破砕業」には14条の産業廃棄物処理業の不要制度しか規定していないんです。
当初、この条項を見たときは、「廃棄自動車の破砕業に関しては一般廃棄物処理業の特例は規定していないから、一般廃棄物処理業の許可は必要なんだ。不思議な規定だなぁ。」と思いました。
そうしたところ、この条項の解説には次のように書いてあるんですね。
「自動車リサイクル法では解体自動車は廃棄物として扱うこととされており、その材質等から見て産業廃棄物に該当する。」\(◎o◎)/!
なんと言う力業。強引な論法。ゴーイングマイウェイ。「材質から見て産業廃棄物」と言えるんだったら、その手前の「解体業」の時点だって言えるでしょ。
結局、ここにオリジン説の限界を見た、とも言えるでしょうね。
おそらく、前述の容器包装リサイクル法のリサイクル工場でも、家電リサイクル法のリサイクル工場でも、そこから排出される「処理残渣物」をリサイクル工場が所在している市町村で引き受けてくれているところは少ないのではないかと思っています。

<妄説>
以上のことから、オリジン説は原則論としては建て付けはよいのですが、廃棄物処理の世界が複雑化した現代では、全てのケースで最後まで押し通すのは無理になってきていると感じています。
私(BUNさん)は、平成12年の改正で理論を変更してしまいましたが、もう一度「中間処理残渣物の排出者は中間処理業者」という論法に戻してはどうかと思っています。
この「中間処理後物」の<定説><妄説>については、次回のお楽しみ。BUN(長岡)<(_ _)>(^-^)/

「オリジン説」のまとめ
公的な文書には無いが、廃棄物処理法の世界では「オリジン説」が定説である。
これは「処理する前に一般廃棄物である物は処理した後に出る物も一般廃棄物」「産業廃棄物も同様」とするものである。

<自説、妄説>
リサイクル事業の時には、適当な段階で、オリジン説を卒業せざるを得ない。

(2019年06月)

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