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水俣条約の水銀規制、国内措置を検討中!

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環境コンサルタント
安達宏之 氏

平成25年10月、熊本県で国際会議があり、「水銀に関する水俣条約」が全会一致で採択されました。
水銀対策への新たな国際的な枠組みが整備されたことになります。

条約前文には水俣病の教訓が明示され、条約が成立した時は、メディアでも大きく取り上げられました。
ただし、企業関係者の関心は必ずしも高くないようです。
しかし、事業活動の中で、何らかの形で水銀を取り扱っている場合、今後の法規制動向によっては規制対象となる可能性があるので、注意が必要です。

水俣条約の主な柱は次の通りです。
・水銀鉱山からの一次産出、水銀輸出入、小規模金採掘等を規制
・水銀添加製品の製造・輸出入規制、製造プロセスの水銀使用制限
・大気・水・土壌排出の削減対策を推進
・水銀廃棄物はバーゼル条約等と整合性をとって適正処分推進
・資金メカニズム創設

現在、国は、こうした条約の規制を国内で担保する措置について複数の検討会にて審議しています。
現在の状況は次の通りです。

(1)水銀大気排出抑制対策小委員会
9月26日に答申案を検討し、水銀排出限度値規制を採用すべきと提案。その場合、順守義務や測定義務に加え、施設設置届出や違反した場合の命令・罰則等を設けるべきとの記述も盛り込んだ。
また、石炭火力発電所、産業用石炭燃焼ボイラー、非鉄金属製造用の製錬・ばい焼工程、廃棄物焼却設備、セメントクリンカーの製造設備で、一定規模以上のものを排出規制の対象とした。

(2)水銀廃棄物適正処理検討専門委員会
8月28日に「水銀廃棄物の処理に関する論点と考え方(案)」を検討し、廃金属水銀を特別管理産業廃棄物に指定することを提案している。収集運搬基準や保管基準等も強化される模様。

(3)産業構造審議会化学物質政策小委員会制度構築ワーキンググループ、
中央環境審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会合同会合
大気排出規制と廃棄物対策以外の条約対応を担当。水銀の供給源及び貿易、水銀添加製品、水銀等を使用する製造工程、水及び土壌への放出等を議論し、26年中に報告書とりまとめを予定。

ここで気を付けたいのは、規制分野ごとに別々の検討会を立ち上げて審議しているために、規制動向の全体像が見えにくくなっていることです。見逃すことのないように注意したいものです。

▶︎ 中央環境審議会大気・騒音振動部会水銀大気排出対策小委員会関係
http://www.env.go.jp/council/07air-noise/yoshi07-09.html

▶︎ 中央環境審議会 循環型社会部会 水銀廃棄物適正処理検討専門委員会関係
http://www.env.go.jp/council/03recycle/yoshi03-09.html

▶︎ 産業構造審議会化学物質政策小委員会制度構築ワーキンググループ、中央環境
 審議会環境保健部会水銀に関する水俣条約対応検討小委員会合同会合関係
http://www.env.go.jp/council/05hoken/yoshi05-12.html

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