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建設廃棄物①

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行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 当コーナーは、「実務に応用できそうな疑義解釈、あるいは誤解してはいけない内容」をわかりやすく解説することを主旨としています。今号からは、誤解が非常に多い内容の1つである、「廃棄物処理法第21条の3(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)」を詳しく解説していきます。

 まず、廃棄物処理法第21条の3は、2010年の廃棄物処理法改正で新設された条文です。約10年前の法改正になりますので、当時の法改正内容に関する記憶が薄れている方がほとんどだと思いますが、2010年改正は、下記のとおり全部で27項目という多岐にわたるものでした。

2010年改正の全体像

1. 土地所有者等に係る通報努力義務の創設
2. 廃棄物処理業等の許可における欠格要件の見直し(連鎖取消条件の明確化)
3. 廃棄物処理施設の定期検査制度の創設
4. 廃棄物処理施設の維持管理に関する情報の公開
5. 最終処分場の適正な維持管理の確保
6. 熱回収施設設置者認定制度の創設
7. 再生利用認定等の特例認定制度に係る環境大臣の監督権限の強化等
8. 排出事業者が産業廃棄物を保管する場合の届出制の創設
9. 排出事業者による処理の状況に関する確認の努力義務の明確化
10. 産業廃棄物管理票制度の強化
11. 優良産廃処理業者認定制度の創設
12. 産業廃棄物処理業者等による委託者への通知の義務付け(処理困難通知)
13. 廃棄物の輸入の許可の対象者の拡大
14. 報告徴収及び立入検査の対象の拡大
15. 措置命令の対象の拡大
16. 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任を明確化するための措置
17. 帳簿対象事業者の拡大
18. 廃石綿等の埋立処分基準の強化
19. 産業廃棄物収集運搬業許可及び特別管理産業廃棄物収集運搬業許可の合理化
20. 会社法改正に伴う経理的基礎に関する提出書類の見直し
21. 廃棄物処理施設における応急の措置に係る記録の作成義務の明確化
22. 許可を要しない廃棄物処理施設の軽微な変更の見直し
23. 広域的処理認定制度の合理化
24. 多量排出事業者処理計画の見直し
25. (最終処分場の「構造基準」及び「維持管理基準」への)凍結による損壊のおそれのある導水管等に係る基準の追加
26. 産業廃棄物の処理に係る広域再生利用指定制度の廃止
27. その他

 2010年改正では、排出事業者にとっては、「保管基準違反が措置命令の対象に追加される」「委託先処理業者の処理状況を確認することの努力義務化」等の様々な規制強化が行われました。
 その中でも、建設業に対しては、不法投棄された廃棄物の7割以上を占めると言われる建設廃棄物の処理責任を確保させるために、「建設工事の元請事業者を建設廃棄物の排出事業者」と定める条文が新設される等、それまでの廃棄物管理実務のやり方が大きく変わるきっかけとなりました。

 今回は、廃棄物処理法第21条の3の第1項について解説をします。

廃棄物処理法第21条の3第1項

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によつて行われる場合にあつては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律(第三条第二項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負つた建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

法第21条の3第1項の重要な点は、「建設工事」と「元請業者」の定義をしていることです。

「建設工事」の定義
平成23年2月4日付 環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律等の施行について(通知)」では、「建設工事」の定義として、次のように表現しています。

第十六 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理責任を明確化するための措置
1 建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理の責任
法第21条の3第1項が適用される「建設工事」とは、土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去を含む概念であり、解体工事も含まれること。

 土木工事や建築工事だけではなく、工作物の解体工事も、第21条の3の対象となる建設工事の対象となります。
 また、エアコンの取付作業や家屋の修繕作業の場合でも、上記の「工作物の一部の除去」に含まれますので、それらの作業で発生した廃棄物は、第21条の3の適用対象となる建設廃棄物となります。

「元請業者」の定義
建設廃棄物の排出事業者は、「注文者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者」と定義されています。
この規定が明文化されることにより、元請事業者が建設廃棄物の排出事業者になることが廃棄物処理法の原則となりました。
もちろん、「元請」とつけば、どんな廃棄物でも元請の産業廃棄物になるわけではなく、あくまでも「建設廃棄物」と「建設工事の元請業者」のみが対象となります。
ここを誤解している組織や人が意外に多く、たとえば、「公園内の樹木剪定」の場合、工作物の新築・改築・除去には該当しないため、廃棄物処理法上は建設工事に該当しません。しかるに、この樹木剪定を「公園維持管理工事」という業務名称で発注しているという理由で、廃棄物処理法第21条の3の対象になると誤解をしているケースが非常に多いのです。

今回のポイント ・工事と名乗れば、なんでも建設工事になるわけではない
・廃棄物処理法第21条の3の対象は、「土木建築に関する工事であって、建築物その他の工作物の全部又は一部の新築、改築、又は除去、あるいは解体工事」に限定されることに注意しましょう。

(2019年10月)

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