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建設廃棄物⑧

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行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)

 前回に引き続き、廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)の対象となる廃棄物の詳細を解説していきます。

 該当する法令の条文は以下のとおりです。
廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)

 建設工事に伴い生ずる廃棄物(①環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る②書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、③④当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす

① 「環境省令で定めるもの」

(法第21条の3第3項 の環境省令で定める廃棄物)
施行規則第18条の2 法第21条の3第3項の環境省令で定める廃棄物は、次の各号のいずれにも該当すると認められる廃棄物とする。
一 次のいずれかに該当する建設工事に伴い生ずる廃棄物(特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物を除く。次号において同じ。)であるもの
A)イ 建設工事(建築物等の全部又は一部を解体する工事及び建築物等に係る新築又は増築の工事を除く。)であつて、その請負代金の額が五百万円以下であるもの
B)ロ 引渡しがされた建築物等の瑕疵の修補に関する工事であつて、これを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額が五百万円以下であるもの
二  次のように運搬される廃棄物であるもの
C)イ 一回当たりに運搬される量が一立方メートル以下であることが明らかとなるよう区分して運搬されるもの
D)ロ 当該廃棄物を生ずる事業場の所在地の属する都道府県又は当該都道府県に隣接する都道府県の区域内に存する施設(積替え又は保管の場所を含み、元請業者(法第21条の3第1項 に規定する元請業者をいう。)が所有権を有するもの(所有権を有しない場合には、当該施設を使用する権原を有するもの)に限る。)に運搬されるもの
E)ハ 当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないもの
2 F)建設工事を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負つたものとみなして、前項第一号イの規定を適用する。ただし、正当な理由に基づいて契約を分割したときは、この限りでない。

 上記のうち、A)からD)までの詳細は前回までに解説しましたので、今回はE)とF)について解説します。
 「平成23年2月4日付環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号通知」では、下記のように施行規則第18条の2の規定を解説しています。

E)運搬途中での保管の禁止

 当該廃棄物の運搬途中において保管が行われないものであること。

 建設現場から目的まで廃棄物を運ぶ間に、一時保管と称して廃棄物を放置されてしまうと、不適正処理の温床となることがあります。実際、平成22年改正以前は、元請ではない事業者が「自社が施工した解体工事で発生した建設廃棄物なので自社物である」と称し、建設廃棄物を堆積させる問題が各地で起こっていました。「運搬途中の仮置き」を認めてしまうと、建設廃棄物の不適切保管がまた増えてしまいますので、通知の「運搬途中の仮置きを認めない」という解釈は理にかなっています。
 なお、運搬途中の(一時)保管は禁止されていますが、「元請事業者が用意した保管場所」や「収集運搬業者の積替え保管場所」へ、法第21条の3第3項の対象となる廃棄物を運搬することはもちろん可能です。それらの場所は、下請事業者が運搬途中で保管をする場所ではなく、元請事業者に指定された運搬先に当たります。

F)契約を分割した場合の請負代金の考え方

 正当な理由に基づいて契約を分割したときを除き、建設工事を同一の者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負つたものとみなして、これを適用すること。正当な理由としては、事故、災害等により建築物その他の工作物が崩壊しつつあり、緊急に修繕の必要がある場合などが考えられること。

  建設工事を同一の事業者が一つの請負契約ではなく、二つ以上の契約に分割して請け負った場合は、「個別の工事ごと」ではなく、「分割した全契約の工事代金」が500万円以下でなければ、廃棄物処理法第21条の3第3項の対象となりません。
 民法上は、請負契約は仕事の完成を目的とする契約であるため、建築物の完成前に天災などで建物が破損したとしても、発注者に追加工事費用の負担を求めることができないことが原則ですが、請負契約締結時に、「天災等の不可抗力で発生した損害の修繕費用は発注者が負担する」と合意をした場合は、発注者が天災等に伴う追加工事費用の負担することも可能です。一例として、国土交通省が公開している「建設工事標準請負約款」では、『(不可抗力に基づく損害については)発注者、受注者が協議して重大なものと認め、かつ、受注者が善良な管理者としての注意をしたと認められるものは、発注者がこれを負担する。』という定めが置かれています。
 上記のような正当な理由に基づいて契約を分割した場合(例:天災で建物が損壊した際の追加工事)は、「分割した全契約の合計金額」ではなく、「追加工事の代金」のみが廃棄物処理法第21条の3第3項適用可否の判断基準となります。

(2020年05月)

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