行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)
廃棄物処理法第21条の3第3項(下請負人が行う廃棄物の運搬に係る例外)
今回は、廃棄物処理法第21条の3第3項の「書面による請負契約で定めるところ」の詳細を解説します。
② 請負契約の定め
廃棄物処理法の条文に「建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより」とあるとおり、元請事業者と下請事業者の間で、書面で交わした合意事項が存在することが大前提となります。
具体的には、請負契約の中で定めた、「建設現場で発生した建設廃棄物については、下請が元請の指定する場所まで運ぶ」という取り決めを指します。
「請負契約」自体は当事者間の合意のみで有効に成立しますが、廃棄物処理法第21条の3第3項の特例の適用を受けるためには、「誰が」「何を」「どこまで」運ぶのかを、「書面」で証明することが不可欠となります。
しかしながら、実際の建設工事の下請負契約においては、請負契約書が作成されることはそれほど多くなく、発注書と受注書のやり取りのみで、下請負契約が成立していることがほとんどです。請負金額が500万円以下という、法第21条の3第3項の対象となる小規模な建設工事であれば、なおさらその傾向が強まります。
「請負契約書」によって、当事者間の合意事項を外部に証明させることが理想ではありますが、小規模な工事のためにわざわざ請負契約書を作成することは煩雑すぎます。そのため、環境省は、下記の通知で、「請負契約書」の代わりに「請負契約の内容を証明する書面」を作成・運用する方法でも良い、という判断基準を示しました。
平成23年2月4日付 環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号通知
(2020年07月)