行政書士 尾上 雅典氏
(エース環境法務事務所 代表)
今回は、廃棄物処理法第21条の3第3項に基づく廃棄物運搬の際に「下請事業者が携行すべき書類」について解説します。
下請事業者がみなし排出事業者として廃棄物を運搬する際に携行すべき書類について、平成23年2月4日付 環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号通知では次のように説明されています。
上記の通知で示されている施行規則の中で、今回のテーマと関係する条文は次のとおりです。
廃棄物処理法第21条の3第3項に基づき、下請事業者が建設廃棄物の運搬を行う場合は、下請事業者は「(みなし)排出事業者」と「下請負人」の両方の立場で運搬を行うことになりますので、上記の廃棄物処理法施行規則第7条の2第3項の「一号」と「九号」の内容が記載された書面を携行しなければなりません。
ここで問題となってくるのが、上記の「九号」の記載例を環境省は通知その他で例示しているのですが、その記載例には、「一号」の「(排出)事業者」として記載すべき「ハ 運搬する産業廃棄物を積載した日並びに積載した事業場の名称、所在地及び連絡先」が含まれていないことです。
そのため、厳密には、下請事業者がみなし排出事業者として運搬を行う際に、環境省が例示している「別記様式」を使用する場合、その「別記様式」のみならず、「産業廃棄物の積載日」や「積載した事業場の名称、所在地」等を書面化して携行する必要があります。現実問題として、それらの情報をわざわざ書面化する意味があるかにどうかについては、大いに疑問がありますが(苦笑)。
その他、運搬車両の側面に、「産業廃棄物の収集運搬車両である旨」の表示をする必要があります(廃棄物処理法施行規則第7条の2の2第4項)。
(2020年08月)