前回までは、2010年の「廃棄物処理制度専門委員会」で言及された、「処理状況確認」のあるべき姿を見てきました。
今回は、2010年から時代を一気に進め、13年後の2023年3月に発出された「処理状況確認」に関連する通知を紹介します。
令和5年3月31日付通知「デジタル原則を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の適用に係る解釈の明確化等について」
上記の7項目のうち、本稿のテーマである「処理状況確認」に関連するカテゴリーは「目視規制」です。
「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、「目視規制」を次のように定義しています。
「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(令和4年6月3日デジタル臨時行政調査会決定)及び「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)において、代表的なアナログ規制7項目(目視規制、定期検査・点検規制、実地監査規制、常駐・専任規制、書面掲示規制、対面講習規制、往訪閲覧・縦覧規制)に関する規制等の見直しが求められている。
これを受けて、今般、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45 年法律第137 号。以下、「法」という。)等のうち法令上の解釈の明確化を図ることとされている事項等について、下記のとおり通知する。
貴職におかれては、下記の事項に留意の上、その運用に遺漏なきを期されたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。
前段に書かれている、「目視規制」「定期検査・点検規制」「実地監査規制」「常駐・専任規制」「書面掲示規制」「対面講習規制」「往訪閲覧・縦覧規制」の7つの項目は、「廃棄物処理法」に基づく用語ではなく、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(令和4年6月3日デジタル臨時行政調査会決定)で、「代表的なアナログ規制」として類型化された「カテゴリー」です。これを受けて、今般、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45 年法律第137 号。以下、「法」という。)等のうち法令上の解釈の明確化を図ることとされている事項等について、下記のとおり通知する。
貴職におかれては、下記の事項に留意の上、その運用に遺漏なきを期されたい。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。
上記の7項目のうち、本稿のテーマである「処理状況確認」に関連するカテゴリーは「目視規制」です。
「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、「目視規制」を次のように定義しています。
「目視規制」
人が現地に赴き、施設や設備、状況等が法令等が求める一定の基準に適合しているかどうかを、目視によって判定すること(検査・点検)や、実態・動向などを目視によって明確化すること(調査)、人・機関の行為が遵守すべき義務に違反していないかどうかや設備・施設の状態等について、一定期間、常時注目すること(巡視・見張り)を求めている規制
人が現地に赴き、施設や設備、状況等が法令等が求める一定の基準に適合しているかどうかを、目視によって判定すること(検査・点検)や、実態・動向などを目視によって明確化すること(調査)、人・機関の行為が遵守すべき義務に違反していないかどうかや設備・施設の状態等について、一定期間、常時注目すること(巡視・見張り)を求めている規制
デジタル臨時行政調査会からの「アナログ規制の見直し方針」に関するヒアリングに対し、環境省は、現状の規制状況は「法令等により『目視等』『見張り』と規定されているが、代替手段が不明確(Phase1-②)」としています。そこから規制の見直しを図った上で、「情報収集の遠隔化、人による評価(Phase2)」の段階を目指すという方針を示しています。
「情報収集の遠隔化、人による評価(Phase2)」とは、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、
「情報収集の遠隔化、人による評価(Phase2)」とは、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」では、
○技術を用いて情報を収集することが可能であり、それを許容する旨が規制上明示されているが、「リスク評価」までをAI等で代替することができないもの
【例】
・業務、会計等の状況の検査など、運営基準・品質管理基準等の定性的な基準への適合性を判定する規制
と定義されています。
【例】
・業務、会計等の状況の検査など、運営基準・品質管理基準等の定性的な基準への適合性を判定する規制
つまり、現状の「法令等により『目視等』『見張り』と規定されているが、代替手段が不明確」な状況から、「技術を用いて情報を収集することが可能であり、それを許容する旨が規制上明示」した後に、「情報収集の遠隔化、人による評価」が当たり前となる将来を目指すことが環境省の目標となります。
「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」で言うところの「Phase2」ではなく「Phase3」を目標とした場合、「判断の精緻化、自動化・無人化」を目指すこととなり、「排出事業者による処理状況確認」に関しては、「Phase3」はおよそ実現不可能な目標と言わざるを得ません。そのため、「判断の精緻化、自動化・無人化」ではなく、「情報収集の遠隔化、人による評価(Phase2)」を目標とすることは妥当な方針と言えましょう。
ちなみに、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」の「別表1(方針確定リスト)」の末尾には、「規制の見直しの方法については、法令(法律、政令、省令)を見直す方法のほか、通知・通達やガイドライン等を見直す方法もある」と書かれています。よって、令和5年3月31日付通知「デジタル原則を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の適用に係る解釈の明確化等について」は、法令改正不要な「通知の見直し」に該当していますので、本通知の発出により、「規制の見直し」という作業が終了したことになります。
本稿でまだ触れていない、令和5年3月31日付通知「デジタル原則を踏まえた廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の適用に係る解釈の明確化等について」の後段部分は、次回ご紹介します。
(つづく)
(2024年09月)