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総合判断説その1

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BUN 環境課題研修事務所
長岡文明 氏

このシリーズは、廃棄物処理法の世界において、どっちつかずのあやふやにされたままにされている事柄について、BUNさんが「あぁでもない。こうでもない。」と自説を呟くというものです。 一応、「定説」とされているレベルの箇所には<定説>と明示し、BUNさんの独りよがりと思われるようなところには<自説>、さらに根拠が薄いなぁというようなところには<妄説>と明示して話を進めていきます。読者の皆さんも、<定説>部分は信じてもかまいませんが、<妄説>の箇所は盲信することなく、眉に唾を付けて読んで下さいね。 さて、ここまで、「オリジン説」「中間処理物」について述べてきましたが、今回から何回かに分けて総合判断説を取り上げていきたいと思います。

<定説>
「総合判断説」に関する最近の公式な通知としては、平成17年8月(初見、直近平成30年3月改訂)、環境省産業廃棄物課長名で各自治体に向けて発出された「行政処分の指針について」(以下「行政処分指針」と記す。)の冒頭「第1総論、4事実認定について、(2)廃棄物該当性の判断について」中で記載されている。
「行政処分指針」は、いわゆる行政が悪徳業者対策をするために発出されたもので、平成13年の通知には「廃棄物該当性の判断」という項目はなかったが、平成17年の改正の時に新たに追加されたものである。いかに行政が、悪徳業者による「これは有価物であって廃棄物ではない」という抗弁に悩まされてきたかが窺える。
「行政処分指針」では、「物の性状」「排出の状況」「通常の取扱い形態」「取引価値の有無」「占有者の意思」の5項目に「その他」を追加した計6つの要素で「物は廃棄物かどうか」を判断しろ、と述べている。

<自説>
総合判断説の取扱いで難しいのは、項目こそ明示されているものの、「どれか1項目でも当てはまらなければ廃棄物になる」というものでもなければ、「1項目クリアで有価物になる」というものでもなく、あくまでも「総合的に判断」しなければならないところである。
総合判断説による判断を迫られたときに、最後に苦慮するのがこの点なのである。

<妄説>
私の感覚としては、この6つの要素が全て均等の重みという訳でもなく、「物の性状」と「取引価値の有無」は他の要素に比較し、飛び抜けて高い感じを受けている。
皆さんの感覚ではいかがでしょうか?
そこで、本来であれば、「物」が有価物かどうかは総合的に判断するべきものであり、絶対的、客観的には判断出来ないものであるにもかかわらず、あえて多くの人と共通的な判断基準に立てるように、総合判断説5項目について点数を付けてみようと考えてみました。

【総合判断説】5項目+1の比重
<極めて妄説>
総合判断説における6項目の重みについて、BUNさんは「同じではない」「均等ではない」のではないかと感じています。
誤解を覚悟の上であえて6項目に点数を配分してみました。
「物の性状」     40点
「排出の状況」     5点
「通常の取扱い形態」  5点
「取引価値の有無」  40点
「占有者の意思」    5点
「その他」      5点
以上、100点満点として50点を超えるようなら、廃棄物該当性が極めて高くなる、という感じで捉えています。(仮称「BUN式点数加算法」)
 このように考える根拠について以下に述べてみましょう。

1、【物の性状…40点】
<定説>
まず、「物の性状」ですがが、行政処分指針の中で、次のように述べています。

廃棄物該当性の判断について
① 廃棄物とは、・・(途中略)・・総合的に勘案して判断すべきものであること。
廃棄物は、不要であるために占有者の自由な処分に任せるとぞんざいに扱われるおそれがあり、生活環境保全上の支障を生じる可能性を常に有していることから、法による適切な管理下に置くことが必要であること。

また、廃棄物処理法がなんのためにそもそも制定されているか、という第1条の「目的」にあるとおり、「生活環境を保全する」ということが第一でしょう。

<自説>
常識的に言っても、「有害性のあるもの」「悪臭の強い物」等のマイナス要因(物の性状)がある「物」は、社会のルールの規制下におくことが望ましいことに異論はないと思われます。
よって、「有害性のあるもの」「悪臭の強い物」等のマイナス要因(物の性状)は、廃棄物であることの大きな要因となると思います。
しかし、ここで注意すべきなのは、有害性等があることが即廃棄物ではないことです。
身近な例として「農薬」を挙げてみましょう。
たいていの農薬は有害です。だが、除草や殺虫等の有<益>性が優先し、少なくとも店で販売している時点では、誰一人として廃棄物とは思わないでしょう。
その他の例としては、高濃度に鉛を含むバッテリーの原液やクロムメッキに使用するメッキ溶液なども挙げておきましょうか。
バッテリー工場では、バッテリーの原液を、メッキ工場ではメッキの原液を、原料として仕入れていることから、廃棄物でないことは明白でしょう。
総合判断説の他の項目は後ほど確認することになりますが、まぁ、「物の性状」以外の「排出の状況」「通常の取扱い形態」「取引価値の有無」「占有者の意志」「その他」の項目は該当する項目は無いように思われます。(後ほど詳細を検証)
このように「農薬」や「バッテリーの原液」「メッキ溶液」は、「有害性」(物の性状)という点では40点が加算されるものの、その他の項目は該当するものはなく、40点止まりであることから50点は超えず、廃棄物処理法の対象とはならないと考えられると思われます。
しかし、これが原料として大切に扱われているのではなく、たとえば、必要以上に農薬を買いすぎて、余ってしまって雨ざらしに何年間も置かれている、という状況ならどうでしょうか?
この辺について、次回検討してみましょう。

「総合判断説」その1のまとめ
<定説>
「物」が有価物か廃棄物かは総合判断説によって判断される。
<妄説>
総合判断説の5つの要因は、重さが違うのではないか。
点数制にしたら客観的に校正に判断出来るのではないか。
「物の性状」という要因では、「有害な物」や「悪臭が強い物」などは廃棄物性が思いのではないか。40点位付けてもいいのではないか。

(2019年08月)

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