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総合判断説その5

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BUN 環境課題研修事務所
長岡文明 氏

このシリーズは、廃棄物処理法の条文に明示していないような事柄について、定説と伴にBUNさんの主張(自説や妄説)を聞いていただくという企画です。
 一応、「定説」とされているレベルの箇所には<定説>と明示し、BUNさんの独りよがりと思われるようなところには<自説>、さらに根拠が薄いなぁというようなところには<妄説>と明示して話を進めていきます。
 読者の皆さんも、<定説>部分は信じてもかまいませんが、<妄説>の箇所は盲信することなく、眉に唾を付けて読んで下さいね。
 さて、「物は有価物か廃棄物か」の定説となっているのは、総合判断説ですが、それをあえて点数評価してみようという妄説にお付き合いいただいています。
 前回までで、総合判断説の5つの要素については、取り上げてきたのですが、今回は行政処分指針にプラスαとして記載している箇所を見てみたいと思います。

<定説>
行政処分指針から抜粋
中間処理業者が処分後に生じた中間処理産業廃棄物に対して更に処理を行う場合には産業廃棄物処理業の許可を要するところ、中間処理業者が中間処理後の物を自ら利用する場合においては、排出事業者が自ら利用する場合とは異なり、他人に有償譲渡できるものであるか否かを含めて、総合的に廃棄物該当性を判断されたいこと。

<自説>
 総合判断説は実に扱いが難しいもので、私自身もいつも迷ってしまいます。その一つがこの箇所です。と、言うのは、「物が有価物か廃棄物か」は今まで紹介してきた5つの要因で判断する、となります。ところが、この箇所はその5つの要因プラスαなんですね。それは何かと言うと「行為者」なんです。
 つまり、排出者自身が行っているリサイクルと処理業者が行っているリサイクルは違う、と言っているのです。
 ただ、これは現実的には理解出来る状況ではあります。
 ここで改めて「リサイクル」というものを考えてみましょう。「リサイクル」って何ですか?
 私は「廃棄物で入って、有価物で抜けていく。」「インプットがマイナスで、アウトプットがプラスになる行為。」これが「リサイクル」だと思っています。
 図を見て下さい。
 いくら製品が売れると言っても、そもそもの原料が有価物であれば、それは単なる「加工業」でしょう。
 また、扱っている物が廃棄物であっても、アウトプットが廃棄物のままであれば、いくら減量化、安全化、安定化を行っていても、それは単なる「中間処理」でしょう。
 ですから、「リサイクル」は「インプットが廃棄物」であり、「アウトプットが有価物」というのが最低限の2つの条件になるのです。

総合判断説その5画像1

さて、話を戻しまして・・・・
 なぜ、行政処分指針では、排出者自身が行っているリサイクルと処理業者が行っているリサイクルは違う、と言っているのか、です。
 排出事業者がやるリサイクルは「量」が限られているんですね。自分が出す廃棄物だけを原料としてやるのが、このパターンですから。
 ところが、処理業者がやるリサイクルは「量」の限界はありません。どんどん集めてくればよい話ですから。
 さらに、排出事業者がやるリサイクルは、インプットでの収入がない(せいぜい処理料金を支払わずに済む)ので、アウトプットで収入がなければ、この事業は成立しません。
 もちろん、世界の環境をよくするために、赤字覚悟でやっている方はいらっしゃいますが、おそらく採算性から言って、長期間の「事業」としては、難しいでしょう。
 と、言うことは、排出事業者が継続的にやっている「リサイクル」は、アウトプットが製品として世の中に流通可能な時が多い、ということになります
。  すなわち、「量」的にも「質」的にも、大きな問題にはなりにくく、法令で厳しく規制するほどのことはないんじゃないか、ともなる訳です。
 ところが、中間処理業者がやる「リサイクル」の原料は他者の廃棄物ですから、これは当然「処理料金」を徴収してやることになります。と言うことは、インプットで収入が発生するんですね。となると、必ずしもアウトプットで収入がなくとも事業としては成立することになります。
 先ほどの図で説明しましょう。

総合判断説その5画像2

そのために、悪徳業者は「リサイクル」と称して、廃棄物をどんどん集める。それで「処理料金」という収入があるうえに、通常の廃棄物処理業であれば中間処理残渣の処分料金が発生(たとえば、処理料金100円で木くずを集めてきて焼却したとすれば、燃え殻が中間処理残渣物として発生するので、その燃え殻の埋立料金が必要、ということ)するのですが、「リサイクル」の場合は、それを「製品だ」「売れるものだ」と称して、支出を抑えるわけです。そんな出来の悪い「製品」は売れるはずがないので、「在庫の山」となってしまう。
 これでおわかりいただけると思うのですが、中間処理業者がやる「リサイクル」は、インプットで収入があるがために、アウトプットでは収入がなくとも事業としては成立してしまう訳です。
なので、行政処分指針では「他人に有償譲渡できるものであるか否かを含めて、総合的に廃棄物該当性を判断されたいこと」とだめ押ししている訳です。
 私が経験した事例をいくつか挙げておきます。なお、同じような行為でも、ちゃんと真面目にやっている業者さんの方が圧倒的に多いので、そこは誤解しないで下さい。あくまでも、悪徳業者の事例です。
 動植物性残渣を発酵させて堆肥を製造する。最初はなんとか売りさばいていたようなのですが、一旦売れなくなると、製品の売上金が入らないものですから、事業を継続するために、搬入量を増やして処理料金でカバーしようとする。発酵能力以上に動植物性残渣を受け入れたために、異常発酵してしまいアウトプットはますます品質の悪い物になってしまう。こんな物が売れるはずが無く、ますます在庫の山になる。経営はますます悪化するので、受入量を多くする。そのうち、在庫の山をどうしようもなくなり、「オレの田圃で全部使う」と称して、自分の土地に堆肥(と称する異常発酵した汚泥)として全部施肥(と称する不法投棄)してしまった。
 もう一つ、ご紹介します。
 解体木くずを焼却し、その焼却灰でブロック製品を製造する、というリサイクル計画でした。ところが、木くずの選別が悪く、釘や蝶番(ちょうつがい)、等の鉄くずが混入したまま焼却炉に投入していました。当然、燃え殻、灰にも鉄くずが入り込みます。大きな物は取り除いたのかもしれませんが、細かい物はそのままで、コンクリートブロックを作っていました。すると、数ヶ月、数年するとコンクリートブロックが部分的に膨らんできて、そのうちパカパカ、パカパカ剥げ落ちくくるんですね。コンクリートの中で鉄くずが錆びてきて、膨潤するんです。これを土木業界ではポップアップ現象と呼ぶようです。当然こんな製品は売れるわけがありません。そこで何をやり出したかと言うと、自分の敷地境界に塀を作り始めたんです。山の中の誰も境界線など意識しない場所に、万里の長城のようなブロック塀を築きだしたんです。これは、当然、やり場に困って自分の敷地に不法投棄したってことですね。
 こんな事案が全国的にも相次いだことから、行政処分指針では「中間処理業者が・・物を自ら利用する場合においては、・・・、他人に有償譲渡できるものであるか否かを含めて、総合的に廃棄物該当性を判断されたいこと。」という一文になったのでしょうね。
 たしかに、多くの第三者にも売れている状態であれば、これは「おそらくは」有価物であろう、となりますね。この販売実績を確認しておけ、ということですね。

<妄説>  と言うことはですよ、総合判断説は6番目の要素があるってことです。それは「その行為を行っている人物」。その人物が信頼の置ける実績のある人物であれば、「物は有価物」。実績も無く信頼おけない悪徳業者が行っているのであれば、「物は廃棄物」。
 念のため書いておきますが、廃棄物を扱っている人物が悪徳業者ってことではありませんよ。同じ「物」であっても、良心的な人物がやっているリサイクルならアウトプットは製品として認知される。しかし、信頼の置けない人物がやっている人物のアウトプットは製品・有価物として信用性は薄いってことです。
 「BUN式点数加算法」も「5つの要因+その他」で採点していますが、この「その他」としては、「行為者」を入れておきたいです。
 実績のある人物なら5点、信頼の置けない人物なら45点(加算式で50点を超えたら廃棄物性は強くなるって方式なので)位でどうだろうか。

「総合判断説」その5のまとめ
<定説>
 行政処分指針では排出事業者が行うリサイクルと処理業者のリサイクルでは扱いを変えている。
<自説>
 それは「質」「量」ともに違ってくることと、インプットでの収入が違う事によるのが大きい。リサイクル製品が売れないと無理なことをしがち。
<妄説>
  総合判断説の6番目の要因、それは「人物」。

(2019年12月)

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