このシリーズのアシスタント、サッカー大好き。夏久愛(なつくあい)です。
昨年度入社の2年目で、総務部環境管理課で、グループ企業を含めての廃棄物管理を担当しています。
廃棄物処理法は難しくて、どんなことに注意していけばよいのか、まだまだ判らないことも多いので、「排出事業者がやっちゃいそうなミス」なんかを中心に教わっていきたいと思います。
前回までは、「排出事業者の排出事業所での保管基準」の話でしたね。
今回はどんな話ですか?
昨年度入社の2年目で、総務部環境管理課で、グループ企業を含めての廃棄物管理を担当しています。
廃棄物処理法は難しくて、どんなことに注意していけばよいのか、まだまだ判らないことも多いので、「排出事業者がやっちゃいそうなミス」なんかを中心に教わっていきたいと思います。
前回までは、「排出事業者の排出事業所での保管基準」の話でしたね。
今回はどんな話ですか?
今回は、このシリーズの「その1」で述べた「2.処理責任者を置くこと」に入ろうか。アイさんの会社では誰が「産業廃棄物処理責任者」になっているかな。
(えぇぇぇ。どうしよう。わかんない。でも、ここで「わからない」なんて答えると甘く見られるとわるいしなぁ。よし、一か八かで答えてみよう)それは私、夏久愛だと思います。
意欲的で元気があるのはいいけど、嘘はいけないよ。たぶん、アイちゃんじゃ無いとおもいますよ。
ばれましたか。降参です。教えて下さい。
アイさんの会社でどなたが具体的に「産業廃棄物処理責任者」になっているかはBUNさんは知らないけど、廃棄物処理法には次の規定があるんだ。
(事業者の処理)
第十二条
8 その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、産業廃棄物処理責任者を置かなければならない。ただし、自ら産業廃棄物処理責任者となる事業場については、この限りでない。
(事業者の処理)
第十二条
8 その事業活動に伴つて生ずる産業廃棄物を処理するために第十五条第一項に規定する産業廃棄物処理施設が設置されている事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、産業廃棄物処理責任者を置かなければならない。ただし、自ら産業廃棄物処理責任者となる事業場については、この限りでない。
へぇぇ、産業廃棄物処理責任者って産業廃棄物を排出する事業所では、どこでも選任しておかなくちゃならないのかと思ったら、産業廃棄物処理施設設置事業所だけなんですね。「第十五条第一項に規定する」って、設置許可が必要な施設ってことでしたよね。じゃ、処理施設を設置していない排出事業者では選任しなくていいんだ。
安易に考えられても困るので、似たような「責任者」を紹介しておこう。
(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
第十二条の二
8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場については、この限りでない。
(事業者の特別管理産業廃棄物に係る処理)
第十二条の二
8 その事業活動に伴い特別管理産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者は、当該事業場ごとに、当該事業場に係る当該特別管理産業廃棄物の処理に関する業務を適切に行わせるため、特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。ただし、自ら特別管理産業廃棄物管理責任者となる事業場については、この限りでない。
これは知ってるわ。「特管責任者」って資格者ですよね。たしか、我が社では大先輩のリサさんが数年前に講習会を修了して選任されているはず。特管産廃は難しそうなので、今の私には無理だと思うけど「産業廃棄物処理責任者」なら取れそうだわ。今度、受講してみようかな。
その意気込みは立派だけど、残念ながらアイさんは受講できないな。
どうして?
実は、「産業廃棄物処理責任者」というのは「資格者」では無いんですよ。だから、まぁ、理屈としては、極論、今すぐにでもアイさんでもなれる。でもねぇ、この「産業廃棄物処理責任者」が制度化されたときに次の通知が出されているんだ。古い通知だけど紹介するね。
昭和五二年三月二六日 環計第三六号、三の4
産業廃棄物処理責任者は、事業場における産業廃棄物処理に関する責任体制の要となるべきものとして設けられるものであるので、事業場内における産業廃棄物の処理を統括する責任ある立場にある者を選任させるよう指導すること。なお、産業廃棄物処理責任者を設置しなければならない事業者以外の事業者に対してもその産業廃棄物の適正な処理を確保するための責任体制を整備するよう指導すること。
アイさんには失礼だけど、入社2年目のアイさんが「統括する責任ある立場にある者」じゃ無いと思う。どう?
昭和五二年三月二六日 環計第三六号、三の4
産業廃棄物処理責任者は、事業場における産業廃棄物処理に関する責任体制の要となるべきものとして設けられるものであるので、事業場内における産業廃棄物の処理を統括する責任ある立場にある者を選任させるよう指導すること。なお、産業廃棄物処理責任者を設置しなければならない事業者以外の事業者に対してもその産業廃棄物の適正な処理を確保するための責任体制を整備するよう指導すること。
アイさんには失礼だけど、入社2年目のアイさんが「統括する責任ある立場にある者」じゃ無いと思う。どう?
おっしゃるとおりです。私の上には何人もいらっしゃいます。
まぁ、たいていの場合は、社長や工場長が「産業廃棄物処理責任者」として選任されていることが多いね。
でも、そうなると、社長や工場長は組織として責任のある立場ではいらっしゃるけど、「廃棄物の処理」という点では、「専門家」っていうレベルじゃないですよ。そりゃ、2年目の私よりは知識はお持ちだと思うけど。そんな人が「処理責任者」でいいんですか?だって、「特別管理産業廃棄物管理責任者」は講習会を受講して、修了試験をパスしている人達でしょ。いくら「普通の産業廃棄物」の処理責任者と言っても・・・。
それがねぇ、その点はあまり支障ないんだ。と言うのは、法的に「産業廃棄物処理責任者」の選任義務があるのは?
さっきも見たけど「第十五条第一項に規定する」産業廃棄物処理施設設置事業所ですよね。
そう。設置許可の必要な処理施設では「技術管理者」という、法第21条で規定している資格者の選任が義務づけられている。産廃の関係箇所を抜粋して紹介するね。
(技術管理者)
第二十一条 産業廃棄物処理施設の設置者は、産業廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当させるため、技術管理者を置かなければならない。
2 技術管理者は、その管理に係る産業廃棄物処理施設に関して第八条の三第一項又は第十五条の二の三第一項に規定する技術上の基準に係る違反が行われないように、当該一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設を維持管理する事務に従事する他の職員を監督しなければならない。
(技術管理者)
第二十一条 産業廃棄物処理施設の設置者は、産業廃棄物処理施設の維持管理に関する技術上の業務を担当させるため、技術管理者を置かなければならない。
2 技術管理者は、その管理に係る産業廃棄物処理施設に関して第八条の三第一項又は第十五条の二の三第一項に規定する技術上の基準に係る違反が行われないように、当該一般廃棄物処理施設又は産業廃棄物処理施設を維持管理する事務に従事する他の職員を監督しなければならない。
技術の専門家である人物を選任しておかなくちゃいけないし、この技術管理者は、技術上の基準の遵守はもちろんながら、「他の職員を監督」まで規定されているんですね。それなら、「産業廃棄物処理責任者」は専門的な知識が無くても務まりますね。
まぁ、技術管理者の監督業務は、あくまでも「維持管理に従事する職員」って限定ではあるけどね。
でも、それならそれで、どうしてこんな屋上屋を重ねるような規定なのかなぁ。
それは歴史的な経緯があってねぇ。廃棄物処理法がスタートした昭和45年の時点では「産業廃棄物処理責任者」の規定は無くて、7年後の昭和52年(1977年)に出来た制度なんだ。この時点で「産業廃棄物処理責任者」を置かなければならない事業所を、当時「有害産業廃棄物」と呼称していた「カドミウム含有の廃棄物」を排出する事業所と設置届出が必要な処理施設の設置事業所に限定したんだ。
産業廃棄物を排出する事業所全てって訳にはいかないでしょうから、中小零細企業は対象外、いわゆる「裾切り」で規制したんですね。
一方、「技術管理者」の制度は当初からあったんだけど、現在の「他の職員を監督しなければならない」という第2項の規定が出来たのは、さらに14年後の平成3年(1991年)なんだ。この平成3年の改正はとても大きな改正で、処理施設が届出制から許可制になったり、処理業許可が期限付き(産廃は5年、一廃は1年)になったり、そして特管物の規定が出来たのもこの時の改正で、特別管理産業廃棄物管理責任者の規定もこの時に出来た。
以前、何かで勉強したわ。バブル経済で産業廃棄物の排出量が増大して、全国的にも大規模不法投棄が相次いで、規制強化が次々となされた時期らしいわね。
さて、そうなると「有害な産業廃棄物」の多くが「特別管理産業廃棄物」に移行した。
これも以前勉強したわね。有害な産業廃棄物は全て「特別管理産業廃棄物」ってことではなく、有害物質の種類(26品目に限定)、排出する事業場の種類、などによるのよね。
よく勉強してるね。偉いぞ。「特別管理産業廃棄物」の中の小グループの「特定有害」といわれる分類だね。だから、有害でも特別管理産業廃棄物ならずに「普通の産業廃棄物」も存在するんだけど、少なくともそれまで「産業廃棄物処理責任者」を置かなければならないとされていた「カドミウム含有の廃棄物」等は特別管理産業廃棄物に移行した。
と、なると、以降は「産業廃棄物処理責任者」ではなく、「特別管理産業廃棄物管理責任者」という資格者を置かなければならないことになったのね。
そうだねぇ。そうなると、「産業廃棄物処理責任者を置かなければならない」となるのは、「設置許可の必要な処理施設設置事業所」だけになってしまった。
でも、この時期に「技術管理者」の制度に「他の職員を監督しなければならない」って規定も作っちゃったんでしょ。
BUNさんが思うに、この平成3年の大改正の時は忙しすぎて、制度の整理が出来ていなかったんじゃないかと感じている。でも、しっかりと適正処理を管理監督する人は何人いても困ることでも無いので、そのままになっちゃってるのかな。実は、この後にも「産業廃棄物処理責任者」という文言は登場する。
それはどんなところに?
平成六年二月の通知には、「産業廃棄物処理責任者を置くことが義務付けられていない事業者に対しても、産業廃棄物の処理を適正に行うべき立場にある者を指定させることにより、責任体制を確立するよう指導すること。」とあるし、平成二〇年五月の通知には、「立入検査者は、事業場等の管理に責任を有する者、産業廃棄物処理責任者及び技術管理者を立ち会わせて、立入検査等を行うこと。」などがあるねぇ。
制度としては、屋上屋を重ねたような感じではあるけど、万一不祥事があった時なんかは、まさに「責任を取らされる」立場なんですね。
まぁ、不祥事がないように日ごろから、管理監督していく立場の人間こそが「産業廃棄物処理責任者」なんだろうけどね。ここからはBUNさんの個人的な推測なんだけど、産業廃棄物処理責任者は改めて注目されるかもしれない。
それはどうして?
世の中が「サーキュラーエコノミー」に注目してきているでしょ。そのために、いろんな新しい制度が出来ている。たとえば、令和4年からスタートしたプラスチック資源循環法では「多量排出事業者」という規定があり、廃プラスチック類を年間250トン以上排出する事業者が該当する。対応が疎かだと勧告や命令の対象ともなる。こういったことを管理監督していく人物が会社の中では必要になるでしょ。
なるほど。そういう業務の総括も「産業廃棄物処理責任者」が負うべきだって考えですね。でも、ちょっと待って。たしか、「多量排出事業者」って廃棄物処理法でも規定していましたよね。
勉強してるね。でも、その話は次回ってことにしておこうか。
楽しみ。じゃ、今回のまとめをしてくださいな。
1.「産業廃棄物処理責任者」を置かなければならない排出事業者がある。
2.置かなければならないのは、設置に当たって設置許可の必要な処理施設の事業所だけ。
3.通知により「産業廃棄物処理責任者」は「産廃処理を統括する責任ある立場にある者」を選任するよう求めている。
4.「産業廃棄物処理責任者」は特段の資格は求められていない。
5.要許可処理施設には別途「技術管理者」の選任が規定されている。
6.特別管理産業廃棄物排出事業者には「特別管理産業廃棄物管理責任者(資格者)」の選任が義務づけられている。
7.法的義務は無いが産業廃棄物を排出する事業所では、産業廃棄物処理責任者を選任しておくことが望ましい。
8.設置義務のある事業者で産業廃棄物処理責任者を選任していない場合は、罰金30万円の規定がある。
2.置かなければならないのは、設置に当たって設置許可の必要な処理施設の事業所だけ。
3.通知により「産業廃棄物処理責任者」は「産廃処理を統括する責任ある立場にある者」を選任するよう求めている。
4.「産業廃棄物処理責任者」は特段の資格は求められていない。
5.要許可処理施設には別途「技術管理者」の選任が規定されている。
6.特別管理産業廃棄物排出事業者には「特別管理産業廃棄物管理責任者(資格者)」の選任が義務づけられている。
7.法的義務は無いが産業廃棄物を排出する事業所では、産業廃棄物処理責任者を選任しておくことが望ましい。
8.設置義務のある事業者で産業廃棄物処理責任者を選任していない場合は、罰金30万円の規定がある。
屋上屋を重ねたような制度ではあるけど、罰則もあることだし、我が社でも誰がなっているか確認しておくようにします。じゃ、次回はこの制度とも若干関係する「多量排出事業者」を取り上げます。
女子サッカーチーム、INAC神戸レオネッサの応援もよろしくね。今月からリーグ後半戦が始まるから、気になる人はぜひ観戦に行ってみてね。盛り上がること間違いなしだよ。(夏久愛)
女子サッカーチーム、INAC神戸レオネッサの応援もよろしくね。今月からリーグ後半戦が始まるから、気になる人はぜひ観戦に行ってみてね。盛り上がること間違いなしだよ。(夏久愛)
(2026年02月)


