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その8「多量排出事業者」

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BUN 環境課題研修事務所
長岡文明 氏

このシリーズのアシスタント、サッカー大好き。夏久愛(なつくあい)です。
昨年度入社の2年目で、総務部環境管理課で、グループ企業を含めての廃棄物管理を担当しています。
廃棄物処理法は難しくて、どんなことに注意していけばよいのか、まだまだ判らないことも多いので、「排出事業者がやっちゃいそうなミス」なんかを中心に教わっていきたいと思います。
前回は、「管理責任者」の話でしたね。
今回はどんな話ですか?
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今回は、このシリーズの「その1」で述べた
3.帳簿を備えること
  (一定の条件に該当する事業場では)
4.処理計画を策定しそれを報告すること
  (一定の条件に該当する事業場では)
の2つについて取り上げていきたいと思います。
2つ同時にですか?どうして?
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アイさんは「計画」って立てたことありますか?
そりゃ、子供の頃は「夏休みの宿題の計画」とか、社会人になってからも「資格試験受験計画」とか立てたことはありますよ。
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「計画倒れ」になったことはないですか?
ドキっ(;^_^A・・・正直言うと、いつもそれです。
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まぁ、BUNさんも人に言えたもんじゃないけど、どうして「計画倒れ」になるのか?それは「身の程知らず」って要因が大きいかなぁ。つまり、今までの実績も踏まえず計画を立ててしまう。
夏休みの宿題も、1日ドリル1頁がやっとこさだったのに、計画では1日ドリル10頁やって、5日で終わらせて、あとは自由研究という遊び放題の計画を立てていました。
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それじゃ、計画は上手く行くはずが無いよね。計画は「理想」じゃなく、努力すれば実現可能なものにしておかなくては。そうなると、「今までの実績」がどんな状態であったかを知っておく必要があるでしょ。
そうかぁ、それが「帳簿」への記録ってことになる訳ですね。
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廃棄物処理法で規定する「帳簿」は、それだけの意味では無いけれども、排出事業者にとってもとても貴重な財産になるものなんですよ。じゃ、前回の続きの関係もあるので、まず、「処理計画を策定しそれを報告すること」を見ていこうか。

法律(事業者の処理)
第十二条 
9 その事業活動に伴い多量の産業廃棄物を生ずる事業場を設置している事業者として政令で定めるもの(次項において「多量排出事業者」という。)は、環境省令で定める基準に従い、当該事業場に係る産業廃棄物の減量その他その処理に関する計画を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。

この「多量排出事業者」というのは?
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それが次の政令。なお、特別管理産業廃棄物については第12条の2第10項でも同じように規定しているので併せて紹介しておこう。

政令(産業廃棄物の多量排出事業者)
第六条の三 法第十二条第九項の政令で定める事業者は、前年度の産業廃棄物の発生量が千トン以上である事業場を設置している事業者とする。
(特別管理産業廃棄物の多量排出事業者)
第六条の七 法第十二条の二第十項の政令で定める事業者は、前年度の特別管理産業廃棄物の発生量が五十トン以上である事業場を設置している事業者とする。

普通の産業廃棄物なら年間1000トン以上、特管産廃なら年間50トン以上が「多量排出事業者」に該当しちゃうんですね。で、この「多量排出事業者」になると、主として「減量化」について計画を作成して、知事に提出しなくちゃいけないんですね。計画に記載しなければならない事項は?
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これが、「環境省令で定める基準」となるけど、これは簡略化して紹介しよう。次の事項だよ。

省令(BUNさん流簡略表現)(多量排出事業者の産業廃棄物処理計画)
第八条の四の五 法第十二条第九項の環境省令で定める基準は、次に掲げる事項を記載した様式第二号の八による計画書を当該年度の六月三十日までに提出することとする。
一 会社名、二 計画期間、三 事業内容、四 管理体制、五 排出抑制、六 分別、七 再生利用、八 中間処理、九 埋立処分、十 処理委託に関する事項

結構な項目ですね。会社名や計画期間なんかは書けるけど、管理体制や中間処理に関することとなると、どういうように、どの程度のことを書いていいのか迷いますね。
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そこで、国は「策定マニュアル」を出しているから、該当者はこれを参考にすれば策定出来ると思うよ。
専門のコンサルに頼んだ方がいいのかなぁ。
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いやいや、それではこの制度の意味が半減すると思うんだ。やはり、自分の会社の状況は自分たちで把握し、自分たちで計画を策定することに意味があるとBUNさんは思うんですよ。とりあえず、一度は挑戦してみて、どうしてもダメそうなときはコンサルに相談してみるという手もあるとは思うけど。
じゃ、挑戦してみようかな。で、計画策定するときに注意する点ってどんなことがあるの?
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いくつかあって、これもマニュアルにも記載しているけど、BUNさんが初めてこのマニュアルを見たときに「目から鱗」だったのが、「発生量」の考え方だったねぇ。
発生量なんて、たとえば、「ビルを解体したときにコンクリートがらが100トン出ました」、なんて言うときは、「発生量100トン」でしょ。難しいことないんじゃないですか?
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がれき類や木くず、金属くずなんかは、そのとおりで、そう難しい話じゃない。難しいのは「汚泥」だね。
汚泥も我が社では、年間、300トン位は処理委託していますけど、「発生量300トン」なのでは?
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汚泥を排出している多くの事業所では、自分の工場内で「排水処理」をしているんだ。
そうですね。うちの事業所でも生産工程から洗浄水が出るので、市町村の下水処理と同じように、それを活性汚泥法で浄化しています。それがなにか?
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活性汚泥法では、汚水に含まれる有機物などの汚れ分を微生物(活性汚泥)に食わせて、増殖する活性汚泥を沈降槽で沈めて、上澄み液を放流する(下図参照)。
その8「多量排出事業者」画像1
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水分ダフダフの状態で「汚泥」が発生する。まぁ、たいてい水分99%とか97%とかの状態。このままでは、埋め立て出来ないし、焼却もできない。当然、運搬するのも大変だし、なんといっても処理料金が高く付く。
そこで「脱水」を行って水分を除去するんだ。
これは小学校の社会科見学で下水処理場を見せていただいたのでだいたい見当はつきます。
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そう。じゃ、水分97%の汚泥が100トン出たとして、これを水分70%に脱水したら何トンになるかな?
約3割減るんだから、約70トンじゃないですか?
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ブッブー。間違い。正解は10トン。これは公害防止管理者や浄化槽管理士試験などにもよく出る問題だから覚えておいて損は無いよ。
解説して下さい。
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「水分97%の汚泥100トン」の固形分は何トン?
100トンの3%だから3トンですよね。
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「脱水」は水分は除去されるけど、固形分は「そのまま」だね。と、言うことは「水分70%の汚泥」中の固形分の量はいくらになるかな。
固形分の量は変わらないんだから3トンです。そうかぁ。7割が水で3割が固形分。3割に相当する量が3トンということは水は7トン。計10トンということかぁ。
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これで判ったと思うけど、この状態の汚泥なら「脱水」することで、量を10分の一にすることができる。これは「減量化」だね。
「汚泥処理料金トン1万円」だとすれば、100万円の処理料金が10万円で済むことになりますね。
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そう、これで判ったと思うけど「脱水」という「減量化」をやっている。つまり、排出事業者で「減量化」という中間処理をやっている。「中間処理をやっている」と、言うことは、本来の廃棄物の発生量は「中間処理をやる前の量」。さっきの例なら脱水をやる前の100トンが発生量と言うことになるね。
私は業者さんに委託する「脱水後の汚泥の量」の10トンだと思っていました。これはちょっと大変ですね。今まで「多量排出事業者」には該当しないと思っていた事業場について、再チェックしておかないと。
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さっき話したとおり、コンクリートがらとか金属くずとかは、こういったことはまず起きないけど、「自社処理」によって、状態が大きく変わってしまうような「汚泥」や「動植物性残渣」などは注意しておく必要があるね。
その8「多量排出事業者」画像2

出典:「多量排出事業者による産業廃棄物処理計画及び産業廃棄物処理計画実施状況報告策定マニュアル(第3版)」(環境省) (https://www.env.go.jp/recycle/taryou_manyuaru.pdf

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「多量排出事業者」については、もう一つ注意しておく事項が出てきた。
それはなに?
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令和4年から施行されているプラスチック資源循環法の規定にこれ↓がある。

プラスチック資源循環法法律(勧告及び命令)
第四十六条 主務大臣は、排出事業者であって、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が政令で定める要件に該当するもの(以下「多量排出事業者」という。)のプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等の状況が第四十四条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該多量排出事業者に対し、その判断の根拠を示して、プラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制及び再資源化等に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

政令(多量排出事業者の要件)
第十六条 法第四十六条第一項の政令で定める要件は、当該年度の前年度におけるプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出量が二百五十トン以上であることとする。

廃プラスチック類の年間250トン以上排出する事業者を「多量排出事業者」としたのね。
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そうなんだ。しかも、プラスチック資源循環法の「多量排出事業者」では、廃棄物処理法の「多量排出事業者」では規定されていない「勧告」「命令」の規定もあり、さらに命令に従わない時は「五十万円以下の罰金」という罰則規定もあるんだ。
廃棄物処理法の規定よりも厳しいんですね。ちょっと、整理しておきたいので「帳簿」の話は次回にして、今回はここまでを「まとめ」てくださいますか。
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1.「多量排出事業者」の規定があり、減量化等について計画を立てて毎年知事に報告しなければならない。
2.「多量排出事業者」に該当するのは、普通の産業廃棄物は年間1000トン以上、特別管理産業廃棄物は50トン以上の「発生量」がある事業者。
3.「発生量」は「委託量」ではないので注意。特に汚泥の脱水処理を自社で行っている場合など。
4.令和4年からはプラスチック資源循環法でも、廃プラスチック類の年間250トン以上排出する事業者を「多量排出事業者」とする規定。
5.プラスチック資源循環法では「勧告」「命令」の規定もある。
6.自社の処理状況を的確に把握し、実現可能な「計画」を策定することが求められる。
こんなところかな。
そのためにも、現状や過去の実績を把握しておくことが大切ってなる訳ですね。じゃ、この話は次回。
女子サッカーチーム、アイナックの応援もよろしくね。(夏久愛)
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(2026年03月)

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