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「処理施設保管量」

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BUN 環境課題研修事務所
長岡文明 氏

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前回は収集運搬時の「保管」である積替保管についての事件だったけど、次の2つの事件はどうかな。
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出典:2020年5月11日 循環経済新聞
ケース1 循環経済新聞切り抜き

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出典:2019年7月1日 循環経済新聞
ケース2 循環経済新聞切り抜き

両方とも前回と同様「保管量超過」、処理基準違反。罰則無しで、改善命令でしょ。はぁっはぁー、さてはセンセ。ここに来てネタ切れかな。
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図1 排出事業所での保管

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嫌な性格になってきたねぇ。たしかに、処理基準違反で、改善命令をかけた事案なんだけど、前回とはちょっと違う。前回は収集運搬時の積替保管だったでしょ。これは、処理施設での保管。さぁ、もう一度根拠条文を探してごらん。
(めんどくさいな~。そんなに違いがある訳じゃあるまいし・・・)まず、法律だけど、これはケース1の記事に記載しているとおり、第12条第1項。
(事業者の処理)
第十二条 事業者は、自らその産業廃棄物(略)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(略、以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。
なんだ、前回と同じじゃない。
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ほー、と言うことは、保管量上限は「搬出量の7日分」となるのかな?積替保管なら「搬出量」はわかるけど、処理施設で「搬出」しないでしょ。そこで処理するために搬入してくるんだから。
嫌味なセンセ。ちょっと待って。そうなると、法律で任せている「政令」の規定が違うのかも。
だとすると、これかな。

(産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準)
第六条 法第十二条第一項の規定による産業廃棄物(略)の収集、運搬及び処分(再生を含む。)の基準は、次のとおりとする。
二 産業廃棄物の処分(略)又は再生に当たつては、次によること。
ロ 産業廃棄物の保管を行う場合には、次によること。
(3) 保管する産業廃棄物(略)の数量が、当該産業廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に十四を乗じて得られる数量(環境省令で定める場合にあつては、環境省令で定める数量)を超えないようにすること。

リサ:と言うことは、14日分ってことね。
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ん~70点位かな。
減点の30点の理由は?
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まず、積替保管と違って「搬出量」ではないし、前月の実績でもない。そして例外規定がある。
解説してちょうだい。
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「処分」すなわち、中間処理のための保管と言うことなので、搬入された産業廃棄物はここで処理されることが前提。よって、積替保管の時は前月の搬出量が翌月の保管可能量の算定基本量(分母)になっていた訳だけど、処理施設における算定基本となるのは、その処理施設の処理能力なんだ。
この処理能力の14日分が原則的な最大保管量だね。
と言うことは、1日100トンの焼却炉だとすると、保管してよい量は100×14=1400トンとなる訳ね。こちらの方が積替保管の時より考え方は単純ね。でも、処理施設は定期点検や故障とかもあるわよね。2週間じゃ短いときもあるんじゃないの?
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この「14日分」というのは、「14日間」じゃないよ。あくまでも「量」なんだ。
だから、たとえば10月1日に何年かに1度の大規模な点検整備に入り、1日100トンの処理能力の焼却炉が1ヶ月停止しなければならなくなったとする。この点検の前に200トンの在庫(未処理の産業廃棄物)があり、それをそのまま1ヶ月間未処理のままでいても違反ではないし、この停止期間中に1200トン搬入されたとしても違反じゃないね。あくまでも「処理能力の14日分は保管してよい量」という規定だから。
なるほど。「処理能力の14日分」、言葉を変えれば、稼働したら2週間で処理が完了できる量までは保管していいよって規定なんですね。
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さらに、前述のとおりこの規定には例外が設定されている。
「環境省令で定める場合にあつては、環境省令で定める数量」というところですね。ちょっと見てみたいです。どこに規定しているの?
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まったく、自分で調べるのめんどくさがって・・・・まっ、1つか2つは紹介するからあとは調べてみてね。省令第7条の8第1項各号から、今回の定期点検の規定とBUNさん地方のような豪雪地帯に適用される規定。
(令第六条第一項第二号ロ(3)の環境省令で定める場合及び数量)
第七条の八 令第六条第一項第二号ロ(3)の環境省令で定める場合及び数量は、次のとおりとする。
二 処理施設の定期的な点検又は修理(実施時期及び期間があらかじめ定められ、かつ、その期間が七日を超えるものに限る。以下「定期点検等」という。)の期間中に産業廃棄物を保管する場合は、当該産業廃棄物に係る処理施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に定期点検等の開始の日から経過した日数を乗じて得た数量と基本数量に二分の一を乗じて得た数量とを合算した数量とする。
五 廃タイヤの処理施設が豪雪地帯対策特別措置法(昭和三十七年法律第七十三号)第二条第一項の規定に基づく豪雪地帯指定区域内にあり、当該処理施設において廃タイヤを十一月から翌年三月までの間保管する場合は、当該処理施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に六十を乗じて得られる数量とする。
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ここ1年の間でも、優良認定を受けている業者が廃プラスチック類を保管する時とか新型コロナの影響でやむを得ないときなんかも、例外規定を追加していたから自分で確かめてみてね。
さて、ここまでだいぶ勉強したと思うから、今日はちょっと実践の問題をやってみようか。
次の記事を読んで、この業者が
Q1.この積替保管施設から前月搬出した実績は何立方メートルか?
Q2.この処理施設の処理能力はいくらか?
よーい、スタート・・・・チッチッチッ
ちょっとちょっと待ってよ。今読むから。
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「処理施設保管量」画像4

出典:2015年9月7日 循環経済新聞
ケース3 循環経済新聞切り抜き

えーと。積替保管の方は「収集運搬業で受託した」ってとこね。処理施設の方は「処分業で」という量から計算すればいいのか。
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図2 積替保管

「処理施設保管量」画像6

図3 処理施設での保管

簡単な処分業の方からいくわよ。
「処分業で受託した・・・240.7m³以下に・・・」と書いてあるから、240.7m³が「処理能力の14日分」
240.7÷14=17.2
この業者の処理施設の処理能力は、特段の例外規定の適用を受けていなければ、<17.2m³/日>と推定。どう?
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正解。つづけて、積替保管は?
これは前回の事件でやった計算よね。保管量上限は「前月搬出量の30分の7日分」。
記事では、「281.4立方メートル以下に」と書いてあるから、これが先月1ヶ月、すなわち30日間で搬出した量の7/30ってことね。とすると・・・
281.4÷7日×30=1206。1206立方メートルじゃないかなぁ。
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正解、だと思うね。
どうして改善命令に小数点が付くような数量にしているかわかんなかったけど、こういう理由があるからなのね。
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そうだねぇ。命令違反は刑罰に結びつく。ややもすると不服審査や裁判にもなりかねない。だから、命令をかける行政も、極めて慎重に法令に則ってやってるんだね。
じゃ、今回の事件のまとめをしておこうか。

1.保管量超過は処理基準違反。
2.処分のための保管量(処理施設での保管上限)は処理施設の処理能力の14日分。
3.「14日分」というのはあくまでも数量であり「14日間」ではない。
4.処分のための保管量規定はいくつかの例外規定有り。
5.処理基準違反は直罰(罰則)は無し。
6.行政処分としては改善命令。改善命令違反は直罰あり。罰則第26条(詳細は前回を参照)
7.「保管」と見なされないような大量、長期、生活環境保全上の支障の発生の状況の場合は、「投棄している」と判断されて、不法投棄で検挙される場合もある。(この事例は前回を参照)
この保管量規定は排出事業者の現地確認でも注意しなければいけない事項なので、今回の事件は参考になったわ。改めてちゃんと復習しておきます。じゃ、またね。
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(2021年11月)

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