2026年7月まで続いた特別国会において、改正廃棄物処理法が成立しました(2026年6月公布)。
本改正では、いわゆるスクラップヤードへの規制強化と災害廃棄物処理対策の強化の改正が行われました。一般の事業者が関係する改正は、前者のスクラップヤード規制強化です。
スクラップヤードとは、屋外で使用済みの金属やプラスチックなどを集積し、保管や解体などをしている作業場のことです。街の郊外へ出ると、高さのある鋼板の塀にぐるりと囲まれている作業場を見たことがある方も多いことでしょう。
こうしたスクラップヤード規制強化の改正については、「これまで有価物としてスクラップを売却しているが、そうした排出事業者にも規制が及ぶのか」と、排出事業者サイドから心配の声をよく耳にします。
そこで今回は、排出事業者の観点からこの新規制について解説していきます。
改正法の直接的な狙いは、スクラップヤードにおいてスクラップ等を粗雑に保管や処分をすることにより、火災や騒音、水質汚濁などの様々な環境汚染が後を絶たないため、その未然防止を図ることにあります。また、不適正な国外流出による国内の資源循環に課題が出ていることもあり、その解消も目指しています。
改正法におけるスクラップヤード規制の概要は、次の図表の通りです。
改正廃棄物処理法のスクラップヤード規制
| 1 | 改正の趣旨 |
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| 2 | 法の目的改正、定義追加 |
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| 3 | スクラップ等の保管・再生業の許可制度の新設 |
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| 4 | 輸出確認制度の新設 |
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| 5 | その他 |
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●排出事業者の対応方法の観点から見た今回の法改正のポイント
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〇公布日等:令和8年6月19日(法律第43号) 〇施行日:公布日から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日 |
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改正法ではまず、本法第1条の目的規定を改めました。
法の目的規定が改正されることは、文字通り法の目的を変えることになるので多くあることではなく、今回の改正が既存の規制の対象を広げたことを意味します。
具体的には、法の目的に、「廃棄物」の適正処理とは別に、新たに「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」と「要適正再生使用済金属・プラスチック物品」の適正処理も追加しました。
いずれも難しい用語ですが、「スクラップ等の有価物」と考えればよいでしょう。
廃棄物ではない、有価物であるスクラップ等も規制対象としたということです。
スクラップ等を保管したり、再生をしたりする保管・再生業をしようとする場合は、都道府県知事等の許可を受けることが義務付けられました。
その際には、政令で定める基準等を遵守しなければなりません。基準はこれから政令改正により定められることになりますが、掲示、保管物の高さ制限、飛散・流出・地下浸透の防止措置、火災発生・延焼防止措置などが想定されているようです。
つまり、スクラップヤードについても、産業廃棄物処理業や産業廃棄物処理場と同等の許可や基準遵守が義務付けられたということです。
また、スクラップ等の輸出確認制度が新設され、国内再生原則の下、スクラップ等の輸出の際は、国内の設備・基準等に基づく環境大臣の確認が義務付けられました。
ある物が廃棄物である間は、多くの排出事業者は本法の規制を厳格に遵守しようとしています。
しかし、全国の工場や事業所を回っている筆者の実感として、その物が有価物として売却できるようになると、途端に対応が緩くなってしまう企業が少なくありません。
ある排出事業者は、売却先がどのような事業者かも知らず、売却の契約書も取り交わさず、その保管ヤードも見にいくこともせず、安易にスクラップ等を売却していました。
今回の改正では、スクラップ等を売却する排出事業者への直接的な規制に関する条文はありません。仮に無許可のスクラップ等の事業者に売却した場合でも、それを規制する条文はありませんし、もちろん罰則もありません(今後の政省令や通知等によって厳しくなる可能性は残されていますが)。
しかし、だからと言って、スクラップヤードの環境汚染が社会問題化している状況において、排出事業者が何もしないという選択はないと思います。
少なくても改正法が施行される2年半後には無許可業者に売却することはやめるべきです。
また、今から現在の売却先が適切な事業者か否かを確認する社内手順を整備し、対応すべきでしょう。有価物であっても、粗雑に扱われる可能性があるものを売却する場合、契約書の締結やヤードへの実地確認を社内ルール化している事業者もいます。
排出事業者は、「廃棄物処理法の適用を受けない有価物である以上、特段の対応は不要である」との従来の認識を改めるべき時期を迎えているのではないでしょうか。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について(環境省)
⇒ https://www.env.go.jp/press/press_04100.html
(2026年08月)


